1. TOP >
  2. 会報『葦』のご紹介 >
  3. 2019年春号 No.172 >
  4. 学長・会長 特別対談 新入生と父母・保護者に向けたメッセージ

学長・会長 特別対談 新入生と父母・保護者に向けたメッセージ

読書のすすめ

北靖久会長

本日はご多用のところ、会報『葦』の対談企画にご参加いただき、まことにありがとうございます。
今回の会報『葦』では、優れた人材の育成に向けた大学側の取り組みや、大学と本会による在学生ならびにその父母・保護者の皆さまに向けた今後のさらなるサービスの充実などを中心に、お話をさせていただきたいと思います。
特にこの4月に関西大学に入学された新入生と、その父母・保護者の皆さまが、関西大学のことをより一層ご理解していただくことで、親子共々、充実した4年間を過ごしてほしいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

芝井敬司学長

こちらこそよろしくお願いします。

関西大学 学長
芝井敬司(しばいけいじ)
関西大学 教育後援会会長
北 靖久(きたやすひさ)

北会長

2017年の秋に全国大学生協連が実施した「学生生活実態調査」で、全国の国公私立30大学の学生約1万人から回答を得て集計した結果、大学生の半数は「読書量ゼロ」というショッキングな結果が示されました。このような若者の活字離れが目立つことを受け、芝井学長は昨年の学部入学式における式辞で、新入生に対し「本日を期して、大人であることを自覚し、本や新聞を読む人間になることを、今ここで決心してください。」とおっしゃいました。どのような想いがあったのかお聞かせ願えますか。

芝井学長

読書をしないことの何が問題かというと、多くの学生はスマートフォンで情報を収集して「わかった気になっている」ということだと思います。便利なものに人が流れるのは世の常ですからそれ自体を否定するつもりはありませんが、その外にある情報に触れることはできません。本の素晴らしいところは、人生を変える出会いがあるというところです。このような時代に生きる若者だからこそ、読書の価値を見つめ直して、本や新聞を読むことで様ざまな考え方や新しい価値観に触れ、自らも深く考える経験を積んでほしいと考えています。

北会長

教育後援会では、大学の新たな取り組みである「電子ブック版・新入生に贈る100冊」に対する助成を行い、学生の活字離れ解消に向けた活動を助成しています。この「電子ブック版」には芝井学長が推薦する本も含まれていますので、ぜひ新入生の皆さんには読書習慣を作るきっかけに活用してほしいと思います。

学生時代を振り返って

北会長

私自身、関西大学の出身で、学生時代はハンドボール部で日々鍛錬を積んでおりました。厳しい練習が辛かった時もありましたが、そこでがんばった経験があるからこそ、社会に出てから少々のことではくじけない我慢強さを身につけられたと思っています。芝井学長は大学生の頃、どのような学生生活を送られたのでしょうか。

芝井学長

まず受験勉強から解放されたことで、自分が好きなことを勉強できるという喜びがありました。私は歴史学が好きだったので、同級生と読書会を立ち上げ、本を読んでは仲間と語り合ったことが思い出に残っています。恩師にも恵まれ、授業が毎週楽しみで、朝早く教室に行って黒板をピカピカにし、一番前の席で授業を受けていました。ちなみにその恩師とは卒業後も懇意にさせていただいて、私の結婚式の仲人をお願いしたほどです。かつて本学学長を務めた故・大西昭男先生は、「師を求めよ、書を求めよ、友を求めよ」というお言葉を残されました。私はこのお言葉に大学生活の真理があると考えています。

関西大学の新しい展開

北会長

本会では昨年から下宿生活を始める新入生を対象とした「新入生歓迎の集い」や、関西大学生活協同組合が実施する「100円朝食」への助成など、学生のキャンパスライフ充実に向けた新たな取り組みを行っております。さらに、先ほども話題に上った「電子ブック版・新入生に贈る100冊」に対する助成も今年の春から行います。大学におかれましては、今後、教育・研究面などにおいて、どのような取り組みが展開されるのでしょうか。

芝井学長

いつも学生のことを一番に考え、温かいご支援をいただいていることに心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
大学の取り組みの大きな動きとしましては、文部科学省「大学の世界展開力強化事業」に採択された「COIL Plus プログラム」の本格展開が始まりました。これは海外のクラスとオンライン上でつながる画期的な取り組みで、現在は20クラスで試行的に開講しており、近い将来100クラスに拡充させていきます。
もう一つ大きな動きとしては、関西大学の起業支援がますます活性化してきたことが挙げられます。
2016年に開設した梅田キャンパスの起業サポートでは、すでに約50事業がスタートしており、同じく2016年に千里山キャンパスに誕生したイノベーション創生センターにおいても4つの新事業が誕生しています。大学からの助成を受けることで、営利だけを目的とした事業ではなく、社会的問題を解決する事業が次々と誕生しており、大きな注目を集めています。よりよい社会を実現するためのアイデアには、本学としても積極的に支援していく所存ですので、教育後援会にもぜひお力添えをいただきたいと考えております。

新しい大学間連携をめざして

北会長

関西大学は2017年9月、法政大学ならびに明治大学と連携協力協定を締結されました。これまで関西では、いわゆる「関関同立」があり、関東では「早慶」や「GMARCH」といった枠組みが存在しますが、世間一般には協力関係の枠組みというよりはライバル関係というイメージが強いように思います。このたびの協定締結にはどのような狙いがあったのでしょうか。

芝井学長

北会長がおっしゃった以外にも、最近では津田塾大学、武庫川女子大学といった女子大学との提携も結んでいます。実は以前から本学は他大学との連携に積極的で、大阪市立大学、大阪府立大学、本学の3大学連携、大阪医科大学、大阪薬科大学、本学の3大学連携、個別には大阪大学、京都大学との間でも共同研究プログラムが稼働しています。また、大学院では「関関同立」間での単位互換制度などもあります。このように関西圏での連携は活発だったのですが、関東圏とのつながりが薄いという状況があったので、このたび、東京の名門である法政大学と明治大学と提携を結ぶことになりました。また、津田塾大学や武庫川女子大学は、女性の社会進出に貢献してきた歴史と実績がありますので、そういったノウハウを学ばせていただき、本学の資源も積極的に提供するということで提携が生まれました。いずれにしても、これからの時代は他大学との連携を通じて、学ぶべきところ、見習うべきところは素直に受け入れ、時代の変化に応じた柔軟な取組を展開することが大切になると考えています。

父母・保護者の皆さまへ

北会長

最後に、父母・保護者の皆さま、特に4月に入学された新入生の父母・保護者の皆さまへのメッセージをお願いいたします。

芝井学長

学生時代というのは青春後期と言われ、多くのご子女が子どもから大人になるとても大切な時期です。だからこそ、私たちも真摯な姿勢で学生と向き合わなければならないと肝に銘じております。また、父母・保護者の皆さまにとっては、干渉しすぎてはいけないし、放任するのも気が引ける、悩ましい時期であると思いますが、学生が「自分で自分を育てる力」を信じて、どうか温かく見守っていただきたいと思います。私たち関西大学は、学生の成長の場であり続けるために、いかなる努力も惜しまない所存です。
「大学と家庭の心のかけ橋」である教育後援会としても、学生の未来を考えてくださる関西大学を全力で支援していきます。
芝井学長、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

会報『葦』のご紹介