研究活動

泊園書院の調査・研究の充実と展開

研究代表者 吾妻 重二 文学部・教授
研究概要 本研究は「平成26年度 創立130周年記念特別研究費(なにわ大阪研究)」における研究課題「関西大学の知的ルーツ「泊園書院」の調査と研究」を発展させるものである。 江戸時代の文政8年(1825)、藤澤東畡により大阪市中に開かれた漢学塾・泊園書院は明治以降も藤澤南岳、藤澤黄鵠、藤澤黄坡および石濱純太郎の努力によって隆盛した。この間、泊園書院からは近代ジャーナリスト先駆者の岸田吟香、浪速銀行頭取の永田仁助、日本大学初代学長の松岡康毅、英吉利法律学校(現中央大学)創立者の一人山田喜之助、尼崎紡績(現ユニチカ)の創業者福本元之助、台北帝国大学初代総長の幣原坦、武田薬品創業者の武田長兵衛など日本近代の発展を支えた多くの人材が輩出している。 本学と泊園書院との関係は、黄坡が本学専門部の中心教授として活躍したことに始まる。さらに本学文学部教授となった石濱により、泊園書院のぼう大な蔵書や印章が戦後「泊園文庫」として寄贈され、これを機縁として東西学術研究所や泊園記念会が設立された。江戸時代以来の泊園の学統が本学の教学に合流し、新たな発展を見せるのである。 本研究では近世・近代における大阪の知的拠点であった泊園書院の学問や蔵書、教育、門人、著作、詩文、書簡等の調査・研究をさらに充実させるとともに、成果発信の一つとして国際シンポジウムを開催する。これは近世・近代の大阪文化の解明に繫がるのみならず、本学の学問的源流を明らかにし、再評価するための重要な作業となるはずである。 泊園塾律と門人帳
研究分担者 泊園書院(本院) 陶  徳民 文学部・教授
藤田 髙夫 文学部・教授
二階堂善弘 文学部・教授
長谷部 剛 文学部・教授
研究期間 2年間

研究成果概要

以下の成果をあげることができた。

1) 創立130周年記念・泊園書院シンポジウム(第56回泊園記念講座)の開催
2016年10月30日(日)、「泊園書院と漢学・大阪・近代日本の水脈」をテーマとし千里山キャンパス第1学舎1号館A601にて開催した。

2) 泊園文庫所蔵の書簡の翻刻
泊園文庫所蔵の書簡のほぼすべての翻刻が完了した。

3) 泊園門人データの入力
泊園文庫自筆稿本に含まれる『勤惰表』(成績表)6~8,『月謝領收簿』,『束脩領收録』,『通学生勤惰表』1~5などを入力した。『登門録』『泊園同窓会名簿』など門人録の入力とあわせ、門人関連データのかなりの部分が入力できた。

4) 泊園文庫書籍の撮影
泊園文庫の一般書籍につき、107部,283冊を撮影した。これまでの撮影分とあわせて泊園文庫書籍の4分の1程度が撮影完了したことになる。

5) 著書・論文の出版・発表など
泊園書院の初めての紹介冊子として吾妻『泊園書院 なにわの学問所・関西大学の もう一つの源流』(全20頁)を出版した。また昭和2年から18年まで同院で刊行されていた新聞「泊園」を原寸大で影印し、『新聞「泊園」 附 記事名・執筆者一覧 人名索引』(全436頁)として出版することができた。

  • 泊園書院址
    泊園書院址
  • 泊園書院跡
    泊園書院跡

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