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研究員の研究活動
「タイ王国バンコク出張」

このたび、2010年2月19日(金)~2月27日(土)まで、タイ王国の首都バンコクを訪問した。今回の目的は、憲法に定められている「共同体の権利」に関する文献を収集するためである。「共同体の権利」に基づいて認められる権利は、慣習、伝統的知識、芸術、文化を保護・復興する権利、または天然資源、環境を管理、保護、利用することに参加する権利である。現在、この「共同体の権利」が注目されている。それは、日本の多額の援助により造成されたマープタプット工業地域における新規事業許可手続が、憲法に定められた環境管理の参加に関する手続に則っていないとして、最高行政裁判所の決定により、65もの事業が停止に追い込まれたからである。

まず最初に「共同体の権利」に関する資料を収集するために訪れたのは、チュラーロンコーン大学中央図書館にある、TIC(Thai Information Center)である。TICは学問分野にとらわれず、タイに関係する資料を収蔵しているセンターであり、タイ研究で新たにテーマを設定して文献を収集する際には、非常に便利な場所である。

また、今回注目されているマープタプットの事件に関する情報を得るために、チュラーロンコーン大学法学部のカヌンニット・シーブアイアム助教授と面談した。カヌンニット助教授は、憲法と環境法の専門家であり、今回のマープタプットの事件についてインタビューするには非常に適した人物である。今回のような事件が起きた要因として、憲法が国民の参加権を大幅に認めたことがある。2007年憲法における国民の参加権の大幅な伸張は、行政権の安定と強化を目的とした1997年憲法がタックシン元首相のような強大な権力者を輩出したことに対する極端な揺り戻しが要因である、とカヌンニット助教授は指摘した。

チュラーロンコーン大学の他に、タンマサート大学、国家人権委員会などを訪問し、「共同体の権利」に関係する資料を収集した。

バンコク滞在の最終日である26日(金)に、亡命中のタックシン元首相の凍結資産没収に関して、最高裁判所政治職在任者刑事事件部による判決が出された。財産の一部没収を命ずる判決が出されたが、大きな混乱は起こらず、無事帰国することができた。


国家人権委員会が入っている政府合同庁舎

西澤希久男(高知短期大学社会科学科准教授)

 


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