マイノリティ研究センタープロジェクト総括
「市民権とマイノリティ」研究班
この研究班は、市民権概念の成立とその変容、および現代国家(とりわけアジア、アフリカ)における市民権概念の形成可能性とマイノリティに関する研究を主たる研究内容としてきた。
国民国家の担い手は、シティズンシップを共有する人々(「国民」との異同が問題となるのだが)であり、国民形成・統合には、この市民権の画定が不可欠であった。しかし、この作業は、たえず他者を創りだす営為でもあった。かかる営為のなかで、国境の内部に異質性があるという事実をどのように法的に処理(規範化)し、それぞれの「国のかたち」を形成していくのかは困難な課題であり続けている。マイノリティは、この「境界画定」と内部の均質化の動きとともに、不断に創られていく存在である。
本研究班は、法学研究所の研究班、科研の研究グループを母体として編成されたものであり、本研究プロジェクトにおいても、2度の研究合宿をおこなうなど、「共同」研究としても充実した成果を導き出すことができた。
孝忠 延夫(マイノリティ研究センター長)
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