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学校インターンシップとは

特色GPについて

「人間性とキャリア形成を促す学校Internship‐小中高大連携が支える実践型学外教育の大規模展開」が、平成17年度文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択されました。特色GPシンポジウムについてはコチラ

特色GPとは

文部科学省は、各大学・短期大学・高等専門学校等が実施する教育改革の取組の中から、優れた取組を選び、支援するとともに、その取組について広く社会に情報提供を行うことにより、他の大学等が選ばれた取組を参考にしながら、教育改革に取り組むことを促進し、大学教育改革をすすめています。この「優れた取組」を「Good Practice」と呼んでいます。これは、近年、国際機関の報告書などで「優れた取組」という意味で幅広く使われており、諸外国の大学教育改革でも注目されている言葉です。なお、この言葉を略して、「GP」と呼んでいます。

文部科学省では、その「GP」をキーワードとして、教育方法や教育課程(カリキュラムなど)の工夫改善の取組や、社会からのニーズの強い課題に対応した取組など、大学における学生教育の質の向上を目指す特色のある優れた取組を選び、これらのサポートのためのプログラムとして、「特色ある大学教育支援プログラム」と「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」を実施しています。これらを「GP」にちなんで、それぞれ、「特色GP」、「現代GP」と呼んでいます。 平成20年度からは、特色GPと現代GPを発展的に統合した「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」を実施しています。

採択されたGPの概要

「人間性とキャリア形成を促す学校Internship‐小中高大連携が支える実践型学外教育の大規模展開」

学校インターンシップとは、大学生が高校、小・中学校等で就業体験を積み、キャリアデザインと人間形成に役立て、受入校にとっては若い力によって学校現場を活性化する取組です。本学では、@学校インターンシップを希望する学生を選考、面接し、受入校とマッチングし、事前の講習を課して学校現場に送り出す。A研修後には事後報告会を開いて、学生、受入校教員とともに取組の成果を検証する。B受入校教員の評価も参照しながら単位認定する。こうしたプロセスで取り組みを行っております。手厚いケアを保ちながら、毎年200人規模の学生を高校や小・中学校など、あらゆる学校現場に送り出している点が本学の特色であります。

学校インターンシップの意義

1.教職志望者のキャリア形成への寄与

〈学生の声〉「知識を現場で生かせたという自信を得た。自分にできることとできないことが自覚できた。今までは教師になりたいという気持ちが強いだけだったが、そのために何をすればよいかが見えてきた」

2.学生の人間的成長、創造的な思考にもとづく行動力の涵養

〈学生の声〉「障がいがあって話すことが難しい子どもでも、自分から働きかけると反応してくれる。子どもたちのように、素直に喜んだり楽しんだりすることを実感して生きていきたい」「指示を待っているだけではだめ。まわりを観察して、自分にできることを工夫して手がけてみた」

3.キャリアデザイン意識の向上 大人への旅

〈学生の声〉「教員になるか、企業に勤めるか、迷っていたが、学校インターンシップで教職志望に気持ちがかたまった」「高校生をみていると、この子達がここまでになるには色々な大人の力を借りてきたのだと思った」「昼休みに用意した『何でも相談室』では、先輩として彼らにとってプラスになるであろう話ができて、とてもうれしく感じた」

教育実習との違い

教育実習は、教科指導を主とします。しかし、教師の仕事は教科指導だけではありません。補習・勉強会、学校行事の運営、部活動指導、進路指導、生徒会活動指導、図書室業務、さまざまな問題を抱える生徒へのケアなど、多岐にわたります。学校インターンシップでは、教師のこうしたさまざまな仕事の補助をすることで、学校現場の実情を理解し、将来像を現実的に思い描くことができます。

企業・行政でのインターンシップとの違い

企業・行政でのインターンシップは、インターンシップ先に勤めている大人の指示にしたがい、社会人として適応する姿勢を培います。学校インターンシップでも、もちろん、受入校の教員の指導にしたがいますが、対象が年少者であり、しかも学校現場の特性から、学生がみずから状況を観察し、理解し、臨機応変な工夫をする必要があります。年少者を援助することで促される大人と しての責任の自覚と、状況に即した創造的な思考にもとづく行動力の向上が、学校インターンシップの効果です。

社会的ニーズ

本学学校インターンシップ事業は、2018年度で16年目を迎えました。過去15年間で2,600名を超える学生を学校現場に派遣しています。近年では年130名近くの本学学生を学校現場へ送りだしています。

なぜこれほどの社会的ニーズがあるのか。その理由には、学校現場の教員の高齢化、少人数指導の推進、ケアを要する生徒の増加といった一般的な理由が挙げられます。しかし、とくに本学の取組に対しては、受入校から、「全学的規模で運営されている」、「大学が選考・面接して信頼できる学生を送り出している」、「事前事後の講習が充実している」等といった面で高い評価をいただいております。

また、本取組を支えているのは、23自治体(2018年3月現在)の教育委員会と本学との間に結ばれた連携協力協定です。

本取組の趣旨をご理解いただき、積極的にご協力いただいている教育委員会・学校のご支援に感謝しております。

〈受入校の声〉「教職を目指している学生諸君に早くから現場を体験していただきたい」「学生の一生懸命な態度は教員にとってもよい刺激となった」「子どもにとって学校内で教師以外の者と接することは、子どもの社会性を伸ばすにも有意義である」

大学教育、小中高大連携・地域連携への問いかけ

当初は予想していなかったことですが、学校インターンシップは世代と世代とをつなぐ場でもあります。現在、少子化と地域コミュニティの崩壊から、若い世代同士がふれあう機会は減っています。学校制度は学年ごとに世代を断ち切り、それぞれの学校のなかに閉じ込めてしまう側面をもちます。学校インターンシップはそうしたジェネレーション・ギャップを解消する機能ももつのではないか。私たちはここに本取組がさらに発展する可能性をみております。

こうしてみると、学校インターンシップは学生の力を介した小中高大連携・ 地域連携なのだとわかります。大学生が高校や小・中学校等に行き、受入校の生徒の成長を助ける。それによって大学生自身も成長する。だからこそ、大学と高校、小・中学校は若い世代を育てる機関として連携する必要がある。ここに私たちは高大連携、小中高大連携の新たな意義を見出しました。高大連携というと、まだまだ入試、出張講義、公開講座等、大学へのアドミッションに関わる事業を連想しがちです。しかし、これに対して関西大学では、高大連携の目標を、次代の知的継承者の育成、在学生への教育効果、社会貢献・地域連携と捉え、社会全体が若い世代を育てるなかで、大学がその一翼を担うものと受け止めております。

本取組が採択された理由

この取組について、特色ある大学教育支援プログラム実施委員会からは、次のような評価をいただきました。

『この取組は、関西大学の「人間関係を大切にし、地域社会に役立つ、行動力あるたくましい人材の育成」を目標に取り組んできた企業インターンシップの経験を生かし、教員志望者の就業支援を目的に、複数の自治体の教育委員会と連携協力に関する協定を結び、教育実習とは異なる「学校インターンシップ」を実現したものであり、非常に優れた取組です。

学校現場を派遣先にするという特殊性に配慮し、事前の市場調査を始めとする木目細かな指導を組織的に行っています。さらに、教職志望者以外の学生にも門戸を広げ、取組を「広義の教養教育」として捉え、「学生の力を活かした小中高大連携」という新たな意義を見出しております。

システムならびに組織性においても優れた取組であると認められます。特に学生が、大人社会の企業や行政のインターンシップと違い、年少者に接することで大人としての責任を自覚し、世代間のつながりを意識させるのに役立つ、教育課程上の工夫と大学と地域社会との連携推進を兼ね備えた事例であり、他の大学等の参考になり得るものと言えます。』

今後の展望

私たちは単なる量の拡大をめざしているものではありません。本取組の質を確保し、さらに向上させる方向で努力したいと考えております。具体的には、本取組が学生のキャリア形成、人間性の向上、大学での学習意欲などに及ぼした成果の追跡調査を進める、事後報告会やシンポジウムを通して、受入校の高校、小・中学校、教育委員会との間でカリキュラム、教育上の達成目標、共有できる問題についてさらなる相互理解と連携を進める、さらには他大学への積極的な情報提供を進めて参ります。

学校インターンシップは学生の人間的成長に資するとはいえ、人間的成長を促す教育に特効薬はありません。事後報告会でこういう感想を述べた学生がいました。「学校インターンシップがきらきらした経験で終わる必要は必ずしもありません」。この言葉は私たちにとっても戒めと励ましとなる言葉であります。現在の大学教育が抱えるさまざまな問題を切り開く糸口として、私たちはこの取組のなかで苦労してみようと思っております。

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