KANSAI UNIVERSITY

INTERVIEW | 私は、こんな人。 /05

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蚊の動きを模倣して、
痛くない注射針を開発。

 生物のもつ優れた能力を模倣し、技術開発やものづくりに活かす「バイオミメティクス(生物模倣)」が様々な分野で注目を集めている。ロボット・メカトロニクスとマイクロシステムを研究する青柳教授も、このバイオミメティクスの応用に取り組む一人だ。
「生物は長い歴史の中で最適化されたカタチで生きています。その世界はマイクロとかナノレベルのため、昔は観察や製造の手段がありませんでした。今後は人類の技術が進歩し、もっと優れた技術が生み出されることになるでしょう」
 青柳教授が着目したのは「蚊」の吸血メカニズム。「ヒトは蚊に血を吸われる時、なぜ痛みを感じないのか?」という疑問のもと、蚊を究極のメカシステムと考えて徹底研究した。蚊を飼育し、高速度カメラや拡大レンズなどを駆使。蚊の針はノコギリ刃のようにギザギザした形状をもち、3本の針を動かして吸血していることを解明した。ギザギザ形状の針(1本)については、関西大学との共同研究を経て、医療機器メーカーが糖尿病患者向けの痛みの少ない採血用の注射針(ランセット針)として開発・商品化に成功している。
「糖尿病の患者さんは、1日に何度も注射針を刺して少量の血を採り、血糖値を測定しないといけません。患者さんには小さなお子さんも多く、痛くない注射針が求められているのです」
 青柳教授の挑戦はさらに続き、わずか0.1mm以下という髪の毛よりも細い注射針に、3Dプリンターを用いて穴を貫通させることに成功した。
「今後は、小児医療や歯科医の麻酔などに利用できるのではないかと考えています」

困難な道に向かっていくのが、
科学のロマン。

 大学時代はエンジニアとして、ひたすらロボット研究に没頭していた青柳教授。
「ロボティクス(ロボット工学)は、メカニズム、情報、制御、人工知能など幅広い分野があり、日進月歩の学問。自分の専門分野を切り拓いて、研究を進める必要があります。大学時代、コウモリの超音波センサを用いたロボットの研究をしていましたが、これも今から思えばバイオミメティクスだったんです」
 幼い頃から好奇心が旺盛で、科学が大好きだったという青柳教授。1996年から関西大学の助教授(当時)として着任し、2002年にはカリフォルニア工科大学で客員研究員を務めた。現在、研究室のテーマは、タコの吸盤を利用したロボットハンド、距離画像センサを用いた人工知能ロボットの開発など多岐にわたる。蚊の動きを模倣した、3本の針を連動させるシステムの開発も進む。
「コスト面など様々な壁がありますが、私たちの研究を製品化させることが目標です。困難な道に向かっていくのが科学のロマンですから。関西大学の学生は、明るくてコミュニケーション能力が高いと思います。総合大学としての利点を活かし、学生たちの人間力を伸ばしていくのも、私たちの使命ですね」

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