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教員が語る専門領域の魅力 vol.8

A.J.バーク 教授

言語と文化は、切り離して考えることはできない。
A.J.バーク 教授
Profile
専門分野は、社会学・語用論、応用言語学、日英対照言語学。言語と文化が重複している部分について研究し、近年、特に談話におけるアイデンティティーの構築に注目している。

 言語と文化は、切り離して考えることはできません。文法的に正しくても、文脈や文化的な背景に即していなければ、本当の意味でその言語を使いこなせている、とは言えません。円滑なコミュニケーションをとるために、その談話の場に当てはまる社会的・文化的ルールを意識しながら、適当な言葉を選択する注意が必要です。

 第2言語の話者が特に気を付けなければならないのは、言語により、社会的・文化的ルールが異なることです。例えば、日本語で話す際、初対面の場合や話す相手が自分より社会的地位が高いと判断した場合は、社会的距離を示すために敬語を使用することができます。しかし、英語には、敬語というものは存在していません。では、英語では、どのように相手と良い関係を作るのでしょうか。又、どの言語で話しても、話者が何等かの情報を相手に伝えようとすると、発話には必ず、自らのアイデンティティーや相手のアイデンティティーを表明する「ヒント」(マーキング)が含まれます。しかし、その「ヒント」は、言語によってどの様に異なり、どんな形で現れるのでしょうか。外国語の学習者にとって、この様な質問の答えを探し出し、納得し、自分のものをとしていくことは、一つの大切な作業だと思っています。

授業ではそのため、私が学部で担当している「英語上級」、「英語ディベート1」、「英語ディベート2」、「英語リスニング2」、上級外国語(英語2)」のクラスでは、実際に外国で英語を学んでいるのと同じような環境を作りと試みています。全ての授業は英語のみで行われ、本格的な英語教材や資料等を出来るだけ多く使用しながら、実際の例を多く取り上げ、英語と英語世界の文化の相互関係を考察させます。例えば、「英語上級」のクラスでは、英語と日本語を比較しながら、言葉と「ジェンダー」、「ポライトネス」、「インポライトネス」、「アイデンティティー」、「メタファー」、「名詞の言語学的なカテゴリー化」、「擬声語/擬態語」、「人間の指示」等の関係について、各テーマを基とした様々なクラス活動を行いました。このように、英語を学ぶと同時に、英語に含まれている文化的な側面と日本語を比較・考察することにより、学習者の英語についての知識が深まり、より熟練した英語話者になれるのだと思われます。

学生のみなさんへのメッセージ

“Learning to speak another language means taking one's place in the human community. It means reaching out to others across cultural and linguistic boundaries. Language is far more than a system to be explained. It is our most important link to the world around us. Language is culture in motion. It is people interacting with people.”
- Sandra Savignon