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【報告】第11回関西大学FDフォーラムを開催しました(9/6)

2014年9月11日

 9月6日、関西大学千里山キャンパスにおいて、第11回関西大学FDフォーラムを開催しました。
今回のフォーラムは「大学教育再生加速プログラム(AP)」が採択されたことに鑑み、アクティブ・ラーニングの質を高めながら裾野を広げていくためにはどうしたらよいのか、アクティブ・ラーニングの成果をどのように可視化すればよいのか、生涯に亘って能動的な学習者(lifelong active learner)を育むためにはどのような工夫や仕掛けが有効であるか、この三点をテーマに、神戸大学より近田政博氏、立命館大学より沖裕貴氏をお招きし、本学からは研究員の田上正範氏が登壇して、それぞれに貴重な知見やアイデアを開陳して頂きました。
プログラムは近田・沖裕・田上の三氏による基調講演、同じく三氏によるパネルディスカッションの二部構成で進めました。

 近田氏は「大学教職員にとってのアクティブ・ラーニング」というタイトルで鋭く先陣を切りました。アクティブ・ラーニングというと、ともすれば学生の学習態度や意欲あるいは手法にばかりにスポットライトが当てられるきらいがある、すなわち教師はアクティブ・ラーニングの機会を提供しているのに学生は少しもアクティブにならない、それは学生の側に問題があるのだ、もしくはアクティブ・ラーニングという手法には限界があるということだ、そのように捉えられがちだが、果たしてそうなのだろうかと、鮮明に課題が提示されました。
 氏は大学生がアクティブ・ラーニングを好まないのはそれまでの「そつなく知識を吸収する学習」の習慣が身についているため、そこに求められた出口の見える忍耐、手続きなどの馴染みのある事柄とは無縁の新たな学習形態に対して心理的な抵抗を持ってしまうからであると喝破し、これを克服するためにはアクティブ・ラーニングの意義が学生に伝わるように教職員自らがアクティブな姿勢や態度を示し、共に学習を楽しむばかりか、情熱や感動を確かに伝えることが不可欠であると、刺激的なご提案を頂きました。

 沖氏は何故アクティブ・ラーニングには特別な成果指標が求められるのか、求められている割には確たる指標が作られていない理由は何なのか、そのような停滞した状況を克服するためにはどうしたらよいのかについて、海外での取り組み事例、そしてご自身の実践例を盛り込みながら、実に示唆に富むお話をしてくださいました。
一般に、授業科目の成果は「知識・理解」あるいは「技能・表現」など、比較的測定が可能な到達度によって測定されるが、その科目においてPBL などの手法が用いられた場合、あるいは手法の用不用を問わずアクティブ・ラーニングの展開を目指す授業が実践された場合、「知識・理解」や「技能・表現」とは別に「関心・意欲」「態度」「思考・判断」などの評価が求められることになる、これらGeneric skillsは測定が困難な達成目標、あるいは向上目標であるため、アクティブ・ラーニングの成果指標はまだその確立を見ていない、まずはそのように我が国における現況の説明をされました。
その上でこの克服を試みる海外の事例をいくつか紹介したのち、「真正な評価」を実施するためにはポートフォリオとパフォーマンスへの着眼・活用が不可欠であり、これを可能にするのがルーブリックであると、ご自身の実践例を引き合いに出されながら、混迷している多くの大学教員にとって希望を感じられる活路をお示し下さいました。
 田上氏は「ジェネリックスキルを培う新しいアクティブ・ラーニング」という演目で、新しいアクティブ・ラーニングの地平を開き、これを豊かにしていく「ハーバード流交渉学」の可能性についてご紹介いただきました。

 交渉学とは契約を成立させるためのスキルやナレッジを提供するものではなく、複数の当事者間の利害などを巡る衝突あるいは対立を克服するプロセスの実例を分析し、理論パターンを抽出した実践的方法論であり、この学問によって交渉を設計するための分析力、交渉を効果的に展開するためのコミュニケーション力、交渉の大詰めに必要な意思決定力が涵養されるとの解説は、ここに提供される実践的な学習プログラムがジェネリックスキルを培うのにきわめて有効なものであると確信させられるものでした。
 田上氏は交渉学の意義や価値についてお話をされるだけでなく、オーディエンスにそのイメージを伝えるために、ロールシミュレーションを柱とした有職者と学生による「交渉学ワークショップ」(2014年5月10日実施)の様子を紹介したり、講演の中で交渉学のエッセンスを少しく盛り込んだシーンを再現したりするなど、豊かなコミュニケーション力の片鱗もお示し下さいました。
 このように益ある講演ののちの第二部のパネルディスカッションは当然のことながら大いに盛り上がり、オーディエンスの方々からも好評価を頂きました。

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