外国語科目

はじめに

 外国語学習を自主的にはじめた人は、極少数だろうと思います。学校の教科として学び始めるにせよ、幼少の頃に英会話スクールに通い始めるにせよ、どちらかといえば、外部からの働きかけに促されて学ばされたケースがほとんどでしょう。
 田舎に生まれた私は、通う英会話スクールもなく外国語と無縁の生活でした。小学校6年生の時に、中学校入ると英語の授業が始まることを知って、何だか関心半分、不安半分で、隣に住んでいた年上の従姉に「英語って難しい?」と尋ねたところ「試しに教えたろか?」と言うので始めたのがきっかけでした。その意味で少しだけ「自主的」でした。
 始めてみると、アルファベットのなぞり書き練習を散々やり、発音もわからないまま単語の綴りと意味を覚えてテストされる、ゴリゴリの古典的指導法(多分従姉はそういう指導を中学校で受けた)でしたが、従姉と週に1回1時間ほど一緒に過ごせるのが嬉しかった私には、学び方なんてどうでもよくて、水曜日をウエドネスダイと覚えていても平気でした。その後も、NHKテレビ英会話の講師がかっこよくて憧れて毎週見るようになったとか、アメリカのロックミュージックにハマってしまったなど、相変わらず英語自体への興味は二の次ながら、楽しさや憧れを「動機」にしてやり始めた学習活動が、その後の自分の自信になり支えになったと思っています。
 同じように、自ら(もしくは自ずから)外国語学習を積んできた「自主的な」人たちには、自分で選んで学ぶことの大切さ、学ぶ環境になんらかの楽しさ(言語学習自体でなくても)を見出して動機にする大切さを、身をもって体験してきた優れた学習者だと思います。そんなみなさんは、大学での外国語学習においても、その言語に触れたい・学びたいと思えるポジティブで持続的な理由や目標を探して、その目標を、クラスメートや担任教員にも話して、前向きになれる外国語学習環境を自ら作っていかれることでしょう。ある卒業生が「僕は昔から船が好きで、造船業に関わりたかったんです。造船の世界ではロシア語は大事なんです」と言っていたのを思い出します。
 逆に機会に恵まれず「外国語学習は必修教科で入試科目だったので」という(だけ)の理由で、外国語学習を続けてきた人たちもいると思います。そんな皆さんには、これからの大学での外国語学習を、暗闇の中を行軍するような苦行の道にするのではなく、多様な外国語の世界を垣間見る機会にしてください。その中で、自分で選ぶ自由を行使し、その外国語で世界を理解し自らを表現する明日の自分を想像してみてください。その選択が、お仕着せでなく、本当にあなた自身の理由である限り、あなたの大学生活を支えてくれると思います。

(外国語学部長 今井裕之)

外国語科目の教育目標(プログラムポリシー)

学士課程教育の一翼を担う教育プログラムとして外国語を生涯にわたり学習・活用し、多文化社会の中で共生・協働するための基盤となる資質・能力を育成することを目的としています。

  • (知識・技能)
    外国語の音声、語彙、表現、文法に加えて、言語の働き(機能)にも理解を深め、これらの知識を、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を身につけることができる。
  • (思考力・判断力・表現力)
    コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、外国語で聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、批判的思考力、異文化理解能力、アカデミック・スキルズ等の「考動力」を身につけることができる。
  • (主体的な態度)
    自らの学習を省察、調整、改善することで、生涯にわたり複数の外国語を学び活用しつづけようとする主体性・自律性を身につけることができる。

Educational Goals for Foreign Language Subjects (Program Policy)

As a program contributing to undergraduate education, the aim of the program is to nurture the competencies necessary as a foundation for the lifelong learning and use of a foreign language and for coexistence and collaboration in a multicultural society.

  • (Knowledge and skills)
    To deepen understanding of the sounds, vocabulary, expressions, grammar and functions of foreign languages, and to be able to acquire the skill to utilize this knowledge in actual communication through listening, reading, speaking, and writing.
  • (Ability to think, make judgements and express oneself)
    To be able to acquire the “ability to think and act” in areas such as critical thinking, cross-cultural understanding and academic skills, through language activities that involve listening, reading, speaking, and writing in a foreign language in a way that is appropriate according to the goal, situation and conditions of the communication.
  • (Proactive attitude toward learning)
    To be able to reflect on, self-regulate, and improve one’s own learning in order to acquire autonomy and a proactive attitude to learn and use multiple languages throughout one’s life.

教育課程編成・実施の方針(カリキュラムポリシー)

外国語科目は、4年間一貫性を持ったカリキュラムを多言語にわたって提供することを目的に以下のような方針に基づいて編成します。

  • 7言語(英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、朝鮮語)を選択肢として用意する。
  • 学部に応じて、英語を必修としながら1~3言語の学習を可能とする。
  • 必修科目で4技能をバランスよく学習し、上位年次には選択科目として高度な外国語運用能力の伸長を促すための専門的な科目を配置する。
  • 授業は少人数クラス編成で実施する。
  • 学生の多様性に応じた学習環境および指導・学習方法を提供する。
  • 英語に関しては、習熟度別クラス編成と到達度確認のため資格試験を活用する。

Curriculum Organization and Implementation Policy (Curriculum Policy)

Foreign language courses are organized according to the following policy to provide a coherent four-year curriculum across multiple languages.

  • To offer seven languages (English, German, French, Russian, Spanish, Chinese, and Korean) as options for students.
  • To have English as a compulsory subject and to make it possible for students to study one to three languages, depending on the faculty.
  • To achieve a good balance between the four skills in compulsory subjects and to provide specialist subjects as optional subjects in the senior years at university to encourage the expansion of high level foreign language proficiency.
  • To implement lessons in classes with a small number of students.
  • To provide learning environments and methods of instruction and learning that are appropriate to the diversity of the students.
  • In the case of English, to provide classes for students of different levels of proficiency and qualification tests to check the level of the students’ achievement.

外国語科目の履修にあたって

 関西大学では、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、朝鮮語、それに外国人留学生対象の日本語の合計8言語を学ぶことができます。
 各外国語の授業は教室内での活動をベースにした対面授業です。英語では、プレースメントテストに基づいた習熟度別クラス編成やe-Learningによる個人学習プログラムを実施することにより、個人の習熟度に適した学習を行うことができます。英語以外の言語では、コミュニケーションクラスなど、特化した技能・領域の習熟を目指すクラスの開講や、許可を受けた場合に限り上位年次配当の科目を受講できるスキップ履修制度もあります。
 それ以外にも、以下の1-4のような個人の学習スタイルや目標に応じたプログラム等を設けており、外国語運用能力の向上に役立つ環境を整備しています。

1 外国語検定試験による単位認定制度

 本学が指定する外国語検定試験を受験し、所定のスコアを取得またはその試験に合格し、その証明書を提出できる人は、外国語検定試験による単位認定を申請することができます。
 本学が指定する検定試験の種類については下の表を参照してください。なお、具体的な得点や級そして各学部における単位の取り扱いについては、HANDBOOK(大学要覧)を参照するか、教務センターにお問合せください。

英語
  • TOEIC® L&R
  • TOEFL®
  • 実用英語技能検定
  • IELTS
ドイツ語
  • ドイツ語技能検定
  • ドイツ語AI相当の検定試験
フランス語
  • 実用フランス語技能検定
  • フランス語AI相当の検定試験
ロシア語
  • ロシア語能力検定試験
スペイン語
  • スペイン語技能検定
  • スペイン語AI相当の検定試験
中国語
  • 中国語検定
  • HSK
朝鮮語
  • ハングル能力検定
  • 韓国語能力試験

2 海外研修(各セミナー)

 関西大学では、夏休みと春休みに海外大学で語学を学ぶ「語学セミナー」を実施しています。海外でホームステイや寮生活を送りながら、現地の大学で約1か月間語学を集中的に学ぶことで外国語運用能力の向上だけではなく、異文化対応力を育む絶好の機会です。所定の成績を収めた場合、「海外研修(各セミナー)」(各2単位)として認められます(各学部によって単位の取り扱いが異なります)。

3 Multilingual Immersion Room(Mi-Room)

 千里山キャンパス第2学舎1号館2階にあるMi-Roomは、キャンパス内にいながら異文化コミュニケーションを実体験し、留学を視野に入れた外国語運用能力向上の機会を取り込むことができる学習スペースです。
 ここでは、担当教員やGlobal Teaching Assistant (GTA、主に海外からの留学生) により、英語をはじめとした外国語学習や異文化理解を促進する各種セッションを対面およびオンライン形式で実施しています。また、さまざまな国・地域の学生との交流スペースとしても利用できますので、それぞれの目標にあわせてMi-Roomを大いに活用してください。

場所 千里山キャンパス第2学舎1号館2階
開室日 月曜日~土曜日
開室時間 午前9時~午後5時

※新型コロナウイルス感染症の影響により、利用に関して変更が生じる場合があります。

4 KU Intensive Communication Camp(KUICC)

 本講座は、5~6日間集中の少人数英語コミュニケーション講座で、関西大学特任外国語講師が担当します。「英語でのコミュニケーションへの抵抗感を和らげることを目的とした初心者向けコース(General English)」と、「留学を念頭に準備を進める学生、将来の就職を想定してビジネス英語を学びたい学生等を対象とした上級者向けコース(Advanced English)」の2つのコースから自分に適したコースを選択することができます。本講座を修了した場合、「外国語運用実習(各セミナー)」(各1単位)として認められます(各学部によって単位の取り扱いが異なります)。

English 英語

German ドイツ語

French フランス語

Russian ロシア語

Spanish スペイン語

Chinese 中国語

Korean 朝鮮語

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