「大阪の劇場大工 中村儀右衛門資料」大道具帳について
「大阪の劇場大工 中村儀右衛門資料」は、明治から大正にかけて大阪で活躍した大工棟梁中村儀右衛門(1852~1921)に関する455点に及ぶ資料群です。彼が手がけた道頓堀を中心とする大阪の劇場建築図面や仕様書、彼の日記や覚書などが含まれます。明治以降の道頓堀を中心とする大阪の劇場建築の様相を知るだけではなく、当時の芝居小屋の息づかいが伝わる貴重な資料です。平成24年(2012)に関西大学大阪都市遺産研究センターが入手しました。
大道具帳は、芝居を演じる際に舞台を彩る背景画や大道具を演目や場面ごとに描いた帳面で、表紙には、興行の年・月、上演演目が記されています。中村儀右衛門資料の大道具帳は、現在でも上演されている作品が、当時どのように上演されていたのかや、当時の演出の細部を知ることができる貴重なものです。
センターでは、かつて芝居町として大阪文化の発信地であった道頓堀の景観を、歴史学・建築学・情報学など学際的に調査・研究を進めていますが、「大阪の劇場大工 中村儀右衛門資料/大道具帳データベース」は、その一環として公開されるものです。
本データベースの作成・公開は、第43回(平成26年度)三菱財団人文科学助成の一環でもあります。
芝居番付について
関西大学大阪都市遺産研究センターでは、平成24年(2012)に「大阪の劇場大工 中村儀右衛門資料」を入手したことをきっかけに、芝居番付の収集を進めてきました。芝居番付とは、歌舞伎・人形浄瑠璃などの興行を宣伝・案内するために作られた印刷物で、今日の映画館や劇場のポスターやチラシ、プログラムにあたるものです。
本データベースは、センターが所蔵する明治期から大正期にかけての芝居番付177点の画像を掲載し、それぞれの書誌データなどの項目を付して公開するものです。芝居番付は、興行の年月順に掲載することを原則としました。
本データベースの作成・公開は、第43回(平成26年度)三菱財団人文科学助成の一環でもあります。
浪花贅六庵蒐集ラベルコレクションについて
本センターが所蔵する「浪花贅六庵(なにわぜいろくあん)蒐集ラベルコレクション」は、明治期から昭和初期にかけての大阪を中心とする303点の商標ラベルの資料群です。菓子店や寿司店が大半を占めますが、料理店や食料品店なども一部含まれています。なかには、現在も営業を続けている店舗のラベルもあり、近代から現代に至る都市大阪の商業文化を知るうえで貴重な資料といえます。近代大阪商標ラベルデータベースは、これらの資料を検索できるようにしたものです。
本データベースの作成・公開は、平成26年度創立130周年記念特別研究費(なにわ大阪研究)助成の一環でもあります。
牧村史陽氏旧蔵写真について
牧村史陽(1898~1979)は、『大阪ことば事典』(講談社、1978年)や『難波大阪』(講談社、1975年)などの著書で知られる、大阪の郷土史研究家です。明治31年に大阪船場に生まれ、大阪大倉商業学校(現・関西大倉高校)を卒業後、独力で郷土史研究に打ち込みました。昭和53年(1978)には大阪文化賞を受賞しています。
本センターが所蔵する「牧村史陽氏旧蔵写真」は、牧村が郷土史調査の際に撮影した写真資料で、昭和30年代~40年代を中心とした大阪の風景が写されています。昭和30年代~40年代の高度経済成長期は、大阪の都市景観が大きく変化した時期でした。この時代を撮影した、総数6444枚におよぶ写真資料は、大阪の都市景観研究における貴重な資料といえます。