講義紹介

水災害論

高橋 智幸 教授

【水災害論】高橋 智幸 教授

Q.水災害論の講義内容について教えてください。

 津波や高潮、洪水などの水に関連した災害を対象として、発生メカニズムや解析方法(シミュレーション方法)などについて学びます。この講義では主に理論を学びますが、その理論を実際に使用する「災害シミュレーション」という講義も別に設けています。災害シミュレーションでは、学生がパソコンを使用して、プログラミングを行い、津波のシミュレーションを実施します。2つの講義内容をマスターすることにより、気象庁の津波警報で実施されているシミュレーションと同等の知識・技術を修得することができます。講義では数学と物理学が必須ですが、文系の学生でも履修できるように必要な内容を絞り込んで、教科書にまとめてあります。
 授業中は頻繁に学生に質問や意見を求めます。学生は「分かりません」と言うことを禁止されており、必ず何かを答えることになっています。学生には、正解を求めているのではなく、どのように考えるかを聞いているのだと説明しています。社会生活においては、正解を知っていることは稀であるし、正解はいくつもあるのだから、知識と経験からどのように自分なりの正解を導いていくかの訓練を重視しています。

受講生の声 ■難しかったが、説明がわかりやすくおもしろかった。 ■確認の小テストがあるので、予習の習慣が身についてよかった。 ■関連講義「災害シミュレーション」と合わせて受講すると理解が深まった。 ■難しそうな数式を、図などで丁寧に説明してくださったのでわかりやすかった。 ■理系出身なので、この授業のように数式を扱う授業は楽しい。物理学の領域も易しく説明されるので理解しやすい。 ■先生の熱意が感じられる講義。効果的に学習できるよう配慮されていると感じた。

Q.「文理融合」の環境で学ぶ良さとは何ですか?

 文系の教育を中心に受けてきた学生に理系のセンス(例えば、定量的かつ客観的に対象を評価する能力など)を身に付けてもらうこと、また理系の教育を中心に受けてきた学生に文系的なセンス(例えば、社会の制度や人間の感じ方・考え方を踏まえたデザイン能力など)を身に付けてもらうことが重要だと考えています。社会のリーダーとなれる人材を育成するためには学際的な教育が重要です。しかし、さまざまな分野の知識を学ぶこと自体が重要なのではなく、広範囲の知識を統合して活用できる能力が重要なのです。
 社会の安全・安心ではブラックボックスになっていることがたくさんあります。例えば、気象庁の警報や自治体が発行するハザードマップなどは多くの市民、自治体の防災担当者、インフラ企業などが使用しているにもかかわらず、それらがどのように作られているのかはほとんどの人は知りません。しかし、社会安全学部で学ぶ学生には、ブラックボックスで満足するのではなく、その中身に興味を持ってもらいたいと思います。

受験生へのメッセージ  大学では、知識を吸収することだけはでなく、知識を使う訓練をしてください。社会安全学部では卒業研究が必修となっています。卒業研究では予想に反してうまくいかないことがたくさん出てきますが、その失敗するという経験が重要です。なぜ失敗したのかを調べ、改善方法を考え、また試す。この過程を繰り返すことにより、問題解決能力が向上し、さまざまな問題への対応力が身につきます。

ゼミ生からの一言  高橋先生は生徒の理解度に合わせて、親身に講義を進めてくれます。また、先生はゼミの研究指導にも熱心で、研究時に何か煮詰まったことがあれば、先生はすぐに答えを提示するのではなく、そこへ至るまでの道標を示してくれるので、ゼミ生は自然と自分で考える力を身につけることができます。私はまだ高橋ゼミに配属されて半年程ですが、着実に一歩一歩自分の成長を感じています! ※この記事は2016年12月時点のものです。