教員紹介

辛島 恵美子

辛島 恵美子 教授

かのしま えみこ

専門分野・担当科目
安全学構築、安全の思想、科学技術政策

メールアドレス:kanoshim

Expert’s Eyes

 安全問題との関わりは70年代後半の「遺伝子組換え技術の安全」問題でした。技術が使われだす前に安全を図るルールづくりをこの技術を使う科学者自身が模索して始めた安全問題でした。文字通りの事前対策であり、予防の観点からは高く評価されるべきものでしょうが、想定の事故や被害を前提にルールを作ることを意味し、想像以上に厄介な作業であり、「安全とは何か?」の疑問に挑戦せずには前に進むことが困難でした。その克服過程で、これまでの考え方の弱点を補完する学問体系の必要性、東洋と西洋の安全の発想の違いに気づき、これからの時代に相応しい安全学構築を志すことになりました。そういう事情で型破りの面もありますが、新しい安全を図る姿勢と社会の秩序(再)構築に関心をもって研究しています。

略歴

1972年(昭和47年) 3月 
東京薬科大学薬学部薬学科 卒業(薬学士)
1972年(昭和47年) 4月 
三菱化成工業株式会社 入社(昭和53年3月31日まで)
1980年(昭和55年) 3月 
三井情報開発株式会社 総合研究所研究員  (科学技術政策研究 担当) (昭和62年7月31日まで)
1986年(昭和61年) 4月 
(財)生存科学研究所 研究員 (平成16年3月まで)
1987年(昭和62年) 8月 
安全学研究所 主宰  (平成16年9月まで)
1993年(平成 5年) 3月 
東京大学大学院法学政治学研究科基礎法学専攻修士課程 修了  修士(法学)
1997年(平成 9年) 3月 
東京大学大学院工学研究科学際工学専攻博士課程単位取得後退学
2004年(平成16年)10月 
NPO法人安全学研究所 理事
2010年(平成22年) 4月 
関西大学社会安全学部 教授

ゼミ生に聞くBACK STAGE

松原将太さん

答えてくれたのは、
三年次生 松原将太さん

Q.辛島ゼミではどんな研究テーマを扱っていますか?
辛島ゼミではどんな研究テーマを扱っていますか?

 辛島ゼミでは、主に「薬・食べ物・水」という、私たちが日頃口にするものをテーマにしています。例えば「水」でこれまでに題材にしたのは、「水道水の安全性」について。水道水がどのようにして家庭まで届けられているかということや、安心して口にできるようにどのような法律が定められているかを学びました。その次に、海外の水道水事情についても調査。水道水が飲めない国は、日本と何が違うのかを比較。そうすることで、日本の水道水がいかに安全か、逆にどこに改善の余地があるのかを知ることができました。このように辛島ゼミでは1つの課題に対して多角的に考察し、課題に対する改善案を立案できるように研究を進めます。

Q.松原くん自身はどんな研究をしているのですか?  私が今取り組んでいるのは、「プロテインの安全性」です。私は消防士をめざしており、普段からトレーニングをしているのですが、体作りをする上でプロテインが必要になります。そのため、普段自分が飲んでいる商品の安全性が、どのように管理されているのか研究したいと思い、このテーマを選びました。研究を進めるにあたって、さまざまなプロテインに関する本を集め、製造工程や私が普段飲んでいるプロテインと他メーカーとの違いを調査しています。また、外国産のプロテインもインターネットですぐに買えるので、外国の製品にも視野を広げて研究しており、最近アメリカと日本では製造工程に関する規範が違うこともわかってきました。今後はプロテインのみならず、「サプリメント」にも研究範囲を広げていこうと考えています。

Q.辛島先生はどんな先生ですか?
Q.辛島先生はどんな先生ですか?

 辛島先生はとても学生思いで、いろんな相談に乗ってくれる優しい先生です。私は2年次生の時に消防士をめざすか、食品関係の企業への就職をめざすか進路に悩んでいました。その頃に辛島先生とお話しする機会があり、先生は私の悩みを長時間聞いてくれ、アドバイスをくれました。ゼミでの発表の際も改善点を丁寧にわかりやすく提案してくれ、自分たちの成長をサポートしてくれます。研究に必要な文献がネットや図書館で見つからなくても困っていても、先生に聞けば役に立つ文献をいくつか紹介してくれるので、とても心強い存在です。お酒の席では1杯目にワインを頼み、時間をかけて飲むというオシャレな一面もあります。

Q.ゼミの雰囲気、また、ちょっとしたゼミでのエピソードを教えてください。  みんな勉強する時はしっかり勉強に集中して、遊ぶ時は思いっきり遊ぶというようにメリハリがついています。ゼミ生同士の雰囲気も和気あいあいとしていて、参考文献で困った時などはお互いに助け合っています。よくゼミの一部のメンバーでご飯に行ったり、京都まで観光に行って遊んだりと、とても仲が良いです。
 研究発表の雰囲気も、緊張しているゼミ生がいると先生が上手にその場を和ましてくれ、アットホームな空気に包まれています。しかし、改善した方が良いと思ったことは遠慮せずに意見する関係性もあるので、お互いを高め合いながらより良い研究発表をめざせます。

Q.「他のゼミとはここが違う!!」というゼミ自慢を教えてください! Q.「他のゼミとはここが違う!!」というゼミ自慢を教えてください!  とにかく、たくさん本を読みます。本を読むことで知識が増え、知識が増えるとさまざまな視点が身につくからです。そのため、辛島ゼミでは初めの1カ月程の間にたくさんの文献を読む課題が出され、それを要約するということを集中的に行います。私は読書が得意ではなかったので、初めは渡された文献を読み切るのに苦労しました。しかし、数をこなしていくといつしか本を読むことが苦ではなくなり、辛島先生の丁寧なご指導のおかげで内容を要約するコツもつかむことができました。今では月に2冊程度の本を読むことは当たり前になり、研究を進めていく上で、多くの文献を比較できるようになりました。

こんな人はぜひ辛島ゼミへ!!
こんな人はぜひ辛島ゼミへ!!

 広い視野を身につけたい人には、とてもオススメです。このゼミでは辛島先生の指導のもと、「鳥瞰的」に物事を見るということを大切にしています。「鳥瞰的」とは鳥のように高い所から広い視野で物事を見て、あらゆる角度から課題について考えていくこと。ゼミ生みんなが研究を進める中で、意識して行っていることです。初めは難しく感じるかもしれませんが、辛島先生の課題を通して少しずつ身につけていくことができます。
 あと、読書が苦手だけど、読めるようになりたいと思っている人にも向いていると思います。実際私以外にも読書が得意になったというゼミ生もたくさんいるので、辛島ゼミをきっかけに本が好きになれるかもしれません。

※この記事は平成28年度時点の内容です。