【講演報告】10/27(月) 客員教授 小池 俊雄 氏による講演会を開催しました

2025年10月27日(月)、関西大学高槻ミューズキャンパスにて、国立研究開発法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)センター長であり、東京大学名誉教授でもある小池俊雄氏を講師に迎え、「ラストマイルを乗り越えよう」と題した講演会を開催しました。

本講演では、災害時の人の行動を理解するために、ピアジェの発達心理学やウィルバーの「ヴィジョン・ロジック理論」など、自我の形成に関する心理的プロセスが紹介されました。小池氏は「人は必ずしも合理的に行動する存在ではなく、無意識のバイアスや感情によって判断が左右される」と述べ、避難行動が取れない背景には、"知っていること"と"行動すること"の間に存在する心理的ギャップがあると指摘しました。

そのため、人間の行動変容のために必要なこととして、ユングの「集合的無意識」や、「薫習」という仏典用語を引きながら、多くの人々の中に無意識のレベルでレジリエントな行動を起こさせるような種が必要であると説明しました。

講演の終盤では、これらの分析を踏まえ「災害レジリエンス文明」という新たな概念が提示され、社会全体が回復力を備え持続的に発展していくための方向性が語られました。小池氏は、「災害に強い文明を築くために、最も大切なのは個々人が"自分ごと"として関わることである」と強調し、聴衆に深い印象を残しました。 

本講演は、心理学的視点から災害レジリエンスを捉え直し、個人と社会の関わりによる防災・減災の可能性を考える貴重な機会となりました。

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