【関大社会安全学部 リレーコラム】防災に重要な「自助」「共助」

「自助、共助、公助」というフレーズが再び注目されるようになり、特に個人の「自助」、地区内の「共助」(これらを合わせて「互助」と呼ぶ場合もあります)を中心に地域防災に取り組むことの重要性が強調されるようになってきました。また、最近、早期避難のための「避難スイッチ」や「マイ・タイムライン」という言葉をよく耳にするようになりました。
「避難スイッチ」とは、避難するためにあらかじめ設定した自分の判断基準のことで、「マイ・タイムライン」とは、住民一人一人の防災行動計画(タイムライン)のことで、自分自身がとる標準的な防災行動をあらかじめ時系列で整理したものです。
気象庁が提供する「キキクル」や自治体のホームページなどから取得できる防災気象情報は、「避難スイッチ」や「マイ・タイムライン」を考える上で重要な役割を担っています。時々刻々変化する多種多様な防災気象情報の中から、「いつ」、「どこ」から「どのような」情報を取得し、早期警戒・避難に活用していくのかは、それぞれの知識のレベルに合わせて日常から検討しておくことが必要です。
例えば、豪雨時に身の回りで発生する危険事象(道路が冠水して避難が困難になるといったことなども含めて)と降雨量のデータ(時間雨量や累積雨量など)を関連付け、そのような事例を数多く収集しておくことで、雨量を危険事象が発生する前の早期避難の判断基準として用いることができます。
行政からの避難情報は、いつも適切なタイミングにピンポイントで発出されるとは限らないということもあわせて認識しつつ、住民自ら「避難スイッチ」や「マイ・タイムライン」を設定し、早期避難につなげていくことが重要です。
また、町内・地区内におけるさまざまな情報の共有やその伝達の方法についても日常から検討しておくことも共助の観点で重要です。
(関西大学社会安全学部教授 小山倫史)(2022-04-18・大阪夕刊・国際・3社掲載)