【関大社会安全学部 リレーコラム】コロナ時代の「想定外」災害

この度は、「令和2年7月豪雨」により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧と、皆さまの平穏な日々を取り戻せるよう心よりお祈り申し上げます。
3日以降(執筆時点でも進行中)、日本列島に停滞する梅雨前線により、記録的な大雨が全国各地広い範囲で断続的に降り、特に、九州、四国、中国、中部地方において、河川の氾濫や土砂災害による甚大な被害が発生しました。大雨の特別警報も7県に発令されました。
昨年は、台風19号による記録的大雨により、関東甲信越地方を中心に甚大な被害が発生し、一昨年も、「平成30年7月豪雨」や台風21号の襲来による災害に見舞われ、西日本で甚大な被害が発生し、「想定外」の災害が毎年発生しています。
今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、避難所ではこれまでとは異なる難しい対応を迫られることとなりました。避難所での3密状態を防ぐための「分散避難」ということが呼びかけられました。「分散避難」は、安全が確保できる場所であれば逃げる場所は必ずしも避難所でなければならないというわけではないということですが、避難をしなくてよいというわけではありません。
避難所で新型コロナウイルスに感染するリスクゼロではありませんが、災害の危険が目の前に迫っていれば躊躇(ちゅうちょ)することなく避難しなければなりません。
災害ボランティアの派遣は、今後の復旧・復興において必要不可欠ですが、新型コロナウイルスの影響による課題が浮上してきています。今後、今回の災害について、さまざまな方面から検証がなされると思いますが、これらの検証から得られる教訓をもとに、「ウィズ(with)・コロナ」時代に、いつ・どこで発生してもおかしくない「想定外」の災害にどのように備えるかを一人一人が考えていく必要があります。
(関西大学社会安全学部教授 小山倫史)(2020-07-20・大阪夕刊・夕刊特集掲載)