博士課程後期課程 防災・減災専攻

⇒2014年度時間割(防災・減災専攻)【PDF】

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種別 授業科目 単位数
必修科目群 専攻演習IIIA(各テーマ) 2
専攻演習IIIB(各テーマ) 2
専攻演習IVA(各テーマ) 2
専攻演習IVB(各テーマ) 2
選択科目群 理工システム系 ↓社会減災政策研究 2
↓工学安全システム研究 2
↓水防災研究 2
↓地震減災研究 2
↓都市防災研究 2
↓数理モデル研究 2
↓工学システム解析研究 2
Advanced Science and Engineering System for Safety 2
社会システム系 ↓公益事業研究 2
↓リスクマネジメント研究 2
↓安全と法システム研究 2
↓交通システム研究 2
↓消防防災行政研究 2
↓公衆衛生研究 2
↓災害経済研究 2
Advanced Social System for Safety 2
人間システム系 ↓安全心理研究 2
↓リスクコミュニケーション研究 2
↓ヒューマンエラー研究 2
↓災害復旧・復興研究 2
↓災害心理研究 2
↓社会安全思想研究 2
Advanced Human System for Safety 2
種別 最低取得単位数
必修科目群 8単位 合計14単位以上
選択科目群 6単位以上

※選択科目は、各系から1科目以上を修得

授業科目の概要(社会安全研究科 防災・減災専攻)

社会減災政策研究
 今後の減災政策の有効な展開のためには、災害問題全体を俯瞰的に捉えて対応することが重要である。そのためには個別災害に共通する危機管理手法と減災のための政策展開に関する包括的な知識が必要である。そこで、歴史的な防災・減災対策の経緯と問題点、危機管理上の優先事項を学習し、今後発生する恐れのある種々の自然災害に対する有効な減災政策考究する能力を涵養する必要がある。そこで、担当教員のこれまでの知見を総合して、減災政策論を講述し、履修者は減災政策を立案する上で必要な知識を習得する。
工学安全システム研究
 原子力発電や火力発電などの社会基盤システムはその安全性、安定性が特に重要である。本講義では特に原子力発電を取上げ、従来から行われてきた確率論的安全評価、安全解析コード、設計計画、運転時の諸問題、定期点検問題、さらには廃炉問題、TMI、チェルノブイリ、福島第1などの事故事例分析を通じて工学安全システムの実例を知り、また、問題点を理解する。同時にわが国および世界の原子力技術の現状を概観し、わが国における制度設計上の問題点、将来のあり方などについて討論する。
水防災研究
 2004年インド洋津波や2005年ハリケーン・カトリーナによる氾濫、さらには2011年東北地方太平洋沖地震に伴う津波災害などの大規模な水災害が世界中で発生し、甚大な被害を与えている。本講義では水災害として津波を中心に取り上げ、そのメカニズムを理解した後、最新の観測技術、解析技術、防災・減災技術を学ぶ。また、環境問題を時間スケールの長い災害と捉え、水に関連した自然エネルギーや生態系保全に関する最新の知見や動向を学ぶ。そして、水災害および環境問題に関する現在の問題点や将来のあり方などについての討論を行う。
地震減災研究
 地震減災のためには、起こりうる地震災害像をリアリティを持って想像することが必要である。本講義ではそのための一手法として広く活用されている地震被害推定を中心に地震災害の軽減方策についての理解を深める。まず想定すべき地震像を深く理解するため、地震調査推進本部による地震評価手法や活断層評価手法を概観し、その地球科学的および地震学的な裏付けとなる理論やデータについても深く考察する。想定地震にもとづく地震被害推定については、国内でもっとも詳細な推定結果のひとつとして評価されている「東海地震静岡県第3次被害想定」を例にして、推定結果の計算プロセスを読み解くとともに、行政現場における予測結果の活用方策について議論を深める。
都市防災研究
 都市の防災対策を取り巻く知識体系は自然科学から社会科学まで極めて多様である。本講義では、国内外の都市防災に関する最新の研究動向を把握するとともに、それらを支える基礎的な知識群を整理し、相互の関係性を理解する。また現代都市の持つ新たな災害リスクを多面的な視点から討論し、将来の都市防災対策の手法の方向性を構築する力を養う。
数理モデル研究
 情報通信技術や数理最適化技術の発展に伴って、最適化計算の結果を用いて運転されるシステムが増えている。最適化計算システムには、対象となる実システムの数理モデルが組み込まれているが、その制御パラメータのなかには、さまざまな環境条件によってその値が確率的に変動するものも少なくない。こうした変動は、当該最適化計算システム、あるいは、これに対応する実体システムのもつリスクと考えることができ、これを最小にするようなシステムの設計や運転制御の方法を求めることが必要になる。
 本講義では、最適化問題や、それを含む広いクラスの問題である相補性問題や変分不等式問題の性質を理解したあと、その局所的最適解、大域的最適解を求める方法を、ソフトウェアを用いた実習もまじえて学ぶ。さらに、パラメータに不確実性が含まれる場合の取扱方法について考える。
工学システム解析研究
 化学プラントや交通システムをはじめとする工学システムでは、しばしば事故が発生している。このような事故に対しては、再現実験を行うことは困難、あるいは不可能であることが多い。そのため、数値シミュレーションによる事故解析への期待が大きい。本講義は工学システムにおける数値シミュレーションと実際の事故との関連について説明する。実際の事故の解析として、確率論的安全評価の手法とその意義を理解する。また、数値シミュレーション手法について、その有用性と限界を理解する。
公益事業研究
 交通、電気、都市ガス、水道、郵便、電信電話などの公益事業は、国民生活や経済活動に必要不可欠な、社会の維持・発展を支える基幹的事業である。本講義では、こうした公益事業の中で、とくに交通事業に焦点をあて、そのマネジメントの現状と課題、ならびに安全確保と事故防止の課題について制度面、実態面から考察を行う。
リスクマネジメント研究
 近年、リスクマネジメントに対する社会的な要請が高まり、さまざまな専門分野からリスクマネジメントにアプローチするようになった。本講義では、本研究科で展開されている防災・減災・安全に関わるさまざまな分野の研究や博士論文を執筆する上で基盤として活用可能な「リスクマネジメントのフレームワーク」について、専門的な学習をする。前半は担当者が講義を行い、後半は参加者によるプレゼンテーションとする。枠組みを提供する。本講義では、保険学や経営学の観点からの伝統的なリスクマネジメントの理論をベースにしている。
安全と法システム研究
 近年、技術革新やグローバル化などにより、わが国の法制度は大きく変化しており、安全や社会秩序に関する様々な問題が顕在化している。本講義では、企業法学・情報法学・企業の社会的責任論の視点から、欧米諸国の法制度及び企業のコンプライアンス体制に関する比較研究を行う。具体的な訴訟や事件、国際機関や公的研究会の議論、学会における先端研究を紹介し、議論を通じてわが国の法制度のあり方に関する討議を行う。
交通システム研究
 交通システムは、国民生活と経済活動を支える極めて重要な社会システムである。また、大地震などの災害発生時においては、被災地に対する支援や被災地の復旧・復興の進捗は、物流システムを含む交通システムの復旧に大きく左右されるという特徴がある。一方で、鉄道や航空など現代の交通システムは巨大システムであり、いったん重大な事故が起こると、多くの死傷者を生じさせてしまう。このため、交通の安全確保は社会にとって重要な課題となっている。
 本講義では、交通システムの実態ならびにその理念的基礎の考察を行うことによって、現代社会に不可欠の交通システムのあり方について論じる。その際、市場と社会の基本的関係から考察し、規制緩和政策の是非や社会の安全との関わりについて基礎的、原理的な考察をも行う。
消防防災行政研究
 大規模事故・災害等発災時の初動体制において、人命救助の重要な役割を担うのが、消防である。消防防災行政について、制度面、行政管理面、政策面から分析を行い、本行政分野の問題点やその解決方策について、他行政分野や海外の先行事例から考察を行う。
公衆衛生研究
 公衆衛生は人々の健康の保護と増進に関わる様々な社会的な要因の分析を行うだけではなく、社会の様々な組織や仕組みを利用して問題解決を行うことを目的としている。公衆衛生の課題は、疾病の予防、食品安全、感染症制御、環境保健、医療制度など広範囲である。授業では、かつては国民病であり、保健予防、医療機関、行政組織、医療保障制度がつくられ、社会的に制御されてきているが、世界的に根絶するには様々な困難が存在している。結核感染症を例に、健康医療問題の解決に必要な公衆衛生制度、公衆衛生研究について討議をしながら理解を深める。近年、腸管出血性大腸菌O157、HIV、SARS、ノロウイルス感染症、新型インフルエンザなどが課題となっているが、これらの問題にどう対応していくのかについて討議を行う。
災害経済研究
 本科目では、博士論文の執筆を見据えて、災害に対する既存の経済学的な分析手法について紹介するととともに、その理論的基礎と、そのような研究が行われるに至った政策的背景について解説する。加えて、大規模災害からの経済復興を円滑に行うための技術や制度について討議を行う。
安全心理研究
 心理学の立場から安全について考察する。主にリスク概念にもとづいて、個人にとっての安全対応であるリスク認知、個人間あるいは集団間における安全構築のためのリスクコミュニケーション、ヒューマンエラーなどに現れる人間の情報処理の特性などについて講義する。また、理工システム系と社会システム系を主専攻とする受講生のために心理学的発想法(psychological mind)についても解説する。
リスクコミュニケーション研究
 現実社会の多様なリスクのガバナンスには、リスクコミュニケーションを通じた社会的合意形成が重要である。本講義ではリスクコミュニケーションに関連する社会心理学・環境心理学の最近の研究動向を紹介する。また、内外のリスクコミュニケーションの事例やそれに関する研究を取り上げて、それぞれの意義や問題点について考察する。さらに、各事例に適切なリスクガバナンスとそれに関連する要因の連関を明らかにするための研究方法について討論する。
ヒューマンエラー研究
 ヒューマンエラーと事故・災害との間に密接な関係があることは広く認識されているが、万全たる対応策は必ずしも確立されていない。ヒューマンエラーに対する誤った認識から誤った対策が導かれることにより安全対策の効果が損なわれ、事故や災害の再発につながる事態も起こりうる。
 本講義では、身近な出来事から社会的に大きな影響を及ぼした大事故に至るまで様々な事例の背景要因を探り、従来のヒューマンエラー対策の問題点と課題について検討する。また、ヒューマンエラーの本質を把握し、事故・災害を防止するための具体的かつ実践的な方策について考察する。
災害復旧・復興研究
 阪神・淡路大震災以降、「復興」の概念は、法制度の制定とも絡みながら広がり、変化してきた。本講義ではこうした近年の動向を踏まえ、災害復興に関わる社会的な対応がどのように形成されてきたのかを、過去の事例や社会学・心理学・防災の文献を紐解きながら検討していく(※1)。
 前半は総論として、「復興」とは何かを問う議論や、復興の問題を考える際の視点と枠組みについて検討する。
 後半は各論として、過去の災害復興事例を取り上げ(※2)、個人の生活再建と地域の復興の関わり、制度的な対応の限界と限界を補完する対応などについて検討していく。
 備考:(※1)日本災害復興学会の小委員会で収集した復興に関する論文とそのリスト等を利用する
(※2)履修者の問題関心・研究テーマに合わせて、過去の災害事例を選定してもらう
災害心理研究
 被災経験は、人々にさまざまな形で大きな変化を与える。災害時や被災後の人々の行動や心理的な変化について学び、また、災害に強い社会を築くためには、災害が起こる前に、どのようなことが必要なのかについて、防災、減災に関する心理学的なアプローチによる研究や事例をレビューしながら、災害に関する心理学的な研究を自律的に展開できる能力を身につける。
社会安全思想研究
 安全の問題は人に限らず生命の歴史とともに古く、そのレベルでみれば最大の安全問題は種の維持であろう。その過程で様々な闘い、競争、淘汰等々もあれば、共同や共生の工夫もあり、文化的存在としての人間社会の形成・展開も自然的安全保障といいうる営みといえる。しかし、核戦争の脅威や地球環境問題の出現に至り、改めて安全の意味を考えざるをえない状況となっている。こうした課題に貢献する知識体系は過度に専門分化され、“部分の最適化が全体の最適化にならない”問題を抱える。こうした状況下で安全を図るには、何を反省し何を目指すかの根本問題から始めざるをえず、現代につながる文化的反省を可能にする概念分析と歴史的考察とを重ね合わせることを通じて社会安全学の目指す方向について概説する。これは基本論であるため、具体的問題に即して理解を深めるために、聴講者の課題を2件(あるいは2種類)取り上げ、社会安全学的配慮について聴講者も参加した議論を通じて考えていく。