システム理工学部

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理工学研究科 塩出 空 さんが関西潤滑懇談会第3回ポスター発表会において最優秀賞を受賞

氏名

塩出 空

所属

理工学研究科 システム理工学専攻 機械工学分野(機械設計研究室)

受賞年日

2017年07月21日

大会・団体名

関西潤滑懇談会第3回ポスター発表会

受賞名

最優秀賞

研究テーマ等

DLCコーティングによる軸受鋼への水素侵入の抑制に関する研究

賞の概要

 過去に軸受は潤滑油の分解や応力集中により白色組織変化を伴う水素脆化型の早期転動疲労剥離が問題となっていた。それは、潤滑油分解の抑制や金属の材料の変更によって改善されたが近年、自動車軽量化等の要求を受け電装補機部品の小型化・軽量化が求められている。小型化・軽量化の一方で高出力・高効率化の要求やEV車の市場への普及に伴い使用環境が過酷化し、再び水素脆化による問題が再燃している。本件発表では軸受鋼にDLCコーティングを施すことでDLCコーティングが無い場合の軸受鋼よりも軸受鋼に侵入する水素の量が減少することが確認された。具体的にはポリプロピレングリコール(PPG)と重水を2:1の割合で混合した潤滑油を用意し、摩擦試験機でDLC無しの軸受とDLC有りの軸受でそれぞれ5[h]、25[h]、摩擦試験を行った。その後、分析装置TOF-SIMSを用いて観察された水素H⁻と重水に含まれる質量数2の水素D⁻をD⁻/Hとして⁻を重水素の軸受中の存在率として求めた。その結果、DLC無しの軸受では5[h]、25[h]の摩擦試験で自然存在率よりも多い重水素が検出され、重水素が表面から内部へ拡散する様子が確認できた。また、摩擦時間を延ばすことで水素侵入量が増加することも確認された。DLCコーティングを施した物では重水素の存在率が5[h]、25[h]共に極めて低下したことからDLCコーティングを行うことで軸受への重水素侵入の抑制が確認された。その理由としてDLCが表面にある場合、その硬度やDLCの低摩擦特性により、表面活性が鋼よりも低いために潤滑油の分解が抑制されたことが考えられる。
 関西潤滑懇談会では7月に企業の若手や学生を主体としたポスターセッションが行われ、今回は全31件(内企業は7件)の発表があり、その中で最優秀賞を頂くことが出来ました。また、参加企業にはトライボロジーを主に扱うNTN、ジェイテクトや潤滑油を取り扱う日本グリース、協同油脂、MORESCOなどが参加していた。                                  

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