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民法1・2の紹介

法学部 水野 吉章

『民法とは??』ひとつの法律を指すのではなく、人と人との関係を定めるたくさんの法律の総称です。その代表的な法律が全五編からなる民法典です。どれだけ人と関わらないように生きていても、人と関わらずには生きていくことができません。その人との関りすべてにおいて、皆さんができること(権利)や皆さんがしなければならないこと(義務)が民法によって定められています。

『例えば・・・』日常での皆さんの行動を考えてください。朝、起きて、ご飯を食べて、シャワーをして、電車に揺られながらスマートフォンをいじり、途中でコンビニによって、学校に来ます。このような日常を送っているなら、あなたはまさに民法を勉強するために生まれてきた方といえるでしょう。

朝ごはんの材料、コンビニでの飲料水、シャワーや料理のために必要な電気・ガス・水の供給・スマートフォンでの通信サービスも、人との関り方のひとつである契約によって手に入れています。運送契約を結んで、鉄道会社に学校の最寄りの駅まで運んで来てもらっています。学校の敷地が他人の土地なのに堂々と入れるのは、契約を結んでいるからです。「契約」をすると、その内容に応じて、契約の相手方に対して権利と義務が生じます。この義務に違反すると、最悪、契約の相手方によって裁判を起こされてしまいます。したがって、契約がいつ成立して、どのような権利と義務が生じるのか、その契約が有効のまま存続しているか、どうしたら義務を果たしたと言えるのかについての民法の知見が必須のものとなります。

ここで、応用問題を出しておきましょう。身に覚えがないのに、「あなたは契約を行いましたので、10万円を支払ってください」と皆さんのスマートフォンにメールが来たとしたらどうしましょう。また、家電量販店で、間違えて必要のない物を買ってしまったときは?やはり契約は契約なので守らなければならないでしょうか。皆さんも、近い将来に、会社と雇用契約を結んで働くことになるでしょうし、銀行から何千万円ものお金を借りるという契約を結んで、そのお金で家を買う契約をするかもしれません。逆にそんな皆さんにお金を貸すほうの銀行に就職するかもしれません。民法を勉強しておけば、人生のあらゆる場面においてそれぞれの立場に応じて賢くふるまうことができます。家族、友人やお客さんを助けてあげることもできるかもしれません。

『民法を勉強することのメリット』について、ここまで読んでいただいた皆さんには、もはや、言葉を尽くす必要はないでしょう。さらにダメ押すなら、ビジネスを行う上で重要な商法や会社法や、会社で働く皆さんの権利(特に辞めさせられない権利)を定めた労働法などは、民法と一緒に適用されます。民法の魅力はこれだけではありませんが、安心して皆さんに夢を実現していただくために、最低限、民法は勉強しておくことをお勧めします。

『基幹科目民法1・2で学ぶことは』、二つあります。第一に、法学部生なら最低限これくらいは理解しておいてほしい!という民法における初歩です。第二に、民法(人生?)のエキスパートとなっていただくため、民法の中で一番重要な法律である民法典全五編のうちの第一編の総則(基本の部分)のルールです。明治29年に制定された民法典の条文は、裁判所に解釈されることによって最新のものにアップデートされ、今も現役で利用されています。したがって、「今使える」民法のルールを知るためには裁判所による解釈も併せて知る必要があります。

ちなみに、上に挙げた難問のほとんどはこの初歩的なレベルの知見で解決できます。