cc-library010005268[1].jpg法学部の基幹科目のひとつである1年次生向け科目『現代政治論』で、『読んでほしい本』として法学部の政治学系教員がそれぞれ3冊を推薦した以下のような文献リストを配りました。この文献リストから、政治の歴史や思想、政治行動、政策決定など政治学の広がりを感じてもらえるのではないかと思います。ほとんどが図書館に所蔵されています。ぜひ本を手に取ってみてください。


西洋政治史 津田 由美子先生

・上橋菜穂子『精霊の守り人』新潮文庫、2007年(を始めとする「守り人」シリーズ)

文化人類学者の知見が、人間と社会・国家について考えるヒントを与えてくれる物語。

・ジョージ・オーウェル(川端康雄訳)『動物農場』岩波書店、2009年

書かれた時代から状況が変わった現代でも、権力について考えさせられて他人(動物)事とは思えない小説。

・丸山眞男(著)杉田敦(編著)『丸山眞男セレクション』平凡社、2010年

吟味された日本語で書かれた、「政治」を巡る政治学者の考察を味わってほしい論文集。


政治機構論 森本 哲郎先生

・森本哲郎編『現代日本の政治―持続と変化』法律文化社、2016年

現代日本政治の動態を最新の研究成果を踏まえ理論的かつ多面的に説明。自信作です!

・中村隆英『昭和史(上)1926-45』『昭和史(下)1945-89』東洋経済新報社(文庫版)、2012年(英訳版あり)

「短い20世紀」(1914年~1991年)とほぼ重なる「昭和史」を生き生きと描く。現在の日本政治を歴史的視点から理解するための1冊。

・馬場康雄・平島健司編『ヨーロッパ政治ハンドブック[第2版]』東京大学出版会、2010年

ヨーロッパ各国政治の歴史と現在について充実した基礎情報と文献案内を提供。 日本政治を比較の視点から理解するための1冊。


情報処理論 山本 慶介先生

・中山幹夫『社会的ゲームの理論入門』勁草書房 、2005年

鈴木光男先生のお弟子さんで大学の先輩の本。経済社会の数理的構造を勉強するのに好適

・ポール・ケネディ(鈴木主税訳)『大国の興亡』草思社、1988年

世界史を年代と事件の経緯でなく各国のダイナミックな動態として理解する助けとなる。

・小林 康夫、船曳 建夫 (編集)『知の技法』東京大学出版会、1994年

東大の教養課程の教科書として編集され、教養のTipsとして発表当時話題となった。


行政学 廣川 嘉裕先生

・武藤博己『入札改革―談合社会を変える』岩波新書、2003年

少し古い本であるが、公共事業や公共サービスの問題と改革の方向性について分かりやすく論じている。

・小熊英二(編)『平成史【増補新版】』河出書房新社、2014年

平成以降の政治・経済・社会保障などの流れが分かる本。全てを読むのが難しければ、関心のあるテーマを選んで読んでみてもよい。

・砂原庸介『民主主義の条件』東洋経済新報社、2015年

選挙や政党などの、政治学で重要なテーマについてコンパクトに解説している。


政治過程論 坂本 治也先生

・早川誠『代表制という思想』風行社、2014年

現代の代表制民主主義を原理的に考えるうえで最適の一冊。民主主義って何だ?と思う貴方に。

・駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする』ちくま文庫、2011年

「新しい公共」を体現する、ある社会的起業家の奮闘録。若者でも社会変革は可能であることを本書を通じて知って欲しい。

・林芳正・津村啓介『国会議員の仕事―職業としての政治』中公新書、2011年

現職国会議員による「政治家の知られざる日常」を描いた好著。政治のリアリティを感じ取って欲しい。


政治哲学 寺島 俊穂先生

・プラトン(加来彰俊訳)『ゴルギアス』岩波文庫、1967年

人はことばによって真実を探究することができるが、ことばを操ることによって人をだますこともできる。ソクラテスは、3人の論客との対話をとおしてことばによるごまかしを暴いていく。正しい行為のあり方、正義についてスリリングな議論が展開する名著。

・マックス・ヴェーバー(脇圭平訳)『職業としての政治』岩波文庫、1980年

著者は、職業政治家の資質として「情熱」「責任感」「判断力」をあげているが、これは、市民活動家、職業人の倫理としても通用する議論である。政治家や市民が理想と現実との緊張のなかで生きていかねばならないことを示した必読書。

・丸山眞男『自己内対話―3冊のノートから』みすず書房、1998年

戦後日本を代表する政治学者が戦中から書きためていた未公刊のノート(覚え書)を死後、出版したもの。丸山の民主主義思想の根底を知るうえで必読の書。


外交史 池田 慎太郎先生

・春名幹男『仮面の日米同盟―米外交機密文書が明かす真実』文春新書、2015年

日米同盟は不公平か。米大統領選でトランプが行った問題提起をきちんと考えてみよう。

・櫻澤誠『沖縄現代史―米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで』中公新書、2015年

日米に翻弄され、基地問題に揺れる沖縄の政治、経済、思想の歩みを詳細に知る事ができる。

・野嶋剛『台湾とは何か』ちくま新書、2016年

初の女性総統、蔡英文の誕生で台湾はどこへ向かうか。日中台の三角関係を読み解く書。


国際政治学 大津留(北川) 智恵子先生

・最上敏樹『人道的介入―正義の武力行使はあるか』岩波新書、2001年

命を守るための武力行使は許せるのか。真の人道的介入とは危機を未然に防ぐ政策だとの主張。

・東野真『緒方貞子―難民支援の現場から』集英社新書、2003年

難民を受け入れない日本を批判する元国連難民高等弁務官が、聴き取りの中でその経験を語る。

・ケヴィン・ラファティ他『アトミック・カフェ』竹書房、2004(英語版1982)年

オバマの広島訪問の背景には、原爆の本当の被害を知らされてこなかったアメリカ市民が存在する。


政治心理学 河村 厚先生

・宮沢賢治『宮沢賢治全集(1)〜(8)』ちくま文庫

宮沢賢治には「全て」がある。そして「銀河鉄道の夜」「グスコーブドリの伝記」「ビジデリアン大祭」「ポラーノの広場」には、政治を学ぶに必要な全てがある。

・スピノザ(畠中尚志訳)『エチカ--倫理学』岩波文庫、1951年

私には人生を賭けて登りつめ超えなければならない頂が3つ在る。スピノザ、フロイト、そして宮沢賢治だ。この本で、「別の仕方」に覚醒して欲しい。

・小此木啓吾『フロイト』講談社学術文庫、1989年

幼少期より、批判するにしても経済学はマルクスに心理学はフロイトに、まずは沈潜しないとならないと植え付けられた事に感謝している。政治の謎は心の謎だと思う。


政策過程論 石橋 章市朗先生

・G・アリソン(宮里政玄訳)『決定の本質--キューバ・ミサイル危機の分析』中央公論社、1977年

核戦争を引き起こしかけたキューバ危機をめぐる米ソの緊迫する決定のモデル分析。政策過程研究の古典、名作、面白い。新しい資料に基づく第二版もあります。

・飯尾潤『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』中公新書、2007年

憲法が想定する政治と現実政治のズレを理論的にわかりやすく解き明かす良書。現代政治論1の続きにどうぞ。

・V・フランクル(池田香代子訳)『夜と霧』みすず書房、2002年

ユダヤ人の精神分析医による自らの収容所体験の心理学的分析。冷静な文体がかえって戦争と生きる意味を問いかけます。もっと若いときに読んでいればと思う一冊。