ゼミ紹介 Research FOCUS(喜多ゼミ)

Kita Seminar 「技術・情報の歴史を見つめ社会との関わりを考える。」喜多 千草 教授 【喜多教授のモットー】「当たり前を疑う」伝統的にこうだったと思われがちな着物の着付け方法が、実は近年確立されたスタイルであるようにその常識が、いつ定着したのか?なぜ当たり前とされているのか。その経緯を見つめることが、新しいアイデアや発見への糸口になるはずです。

さまざまな科学や技術が、社会とどう関わってきたのか?その過程や歴史をみつめる。

科学や情報分野における新しい価値観は、核になる技術の発明だけではなく、社会のニーズや世の中の流れの中で、相応しい"カタチ"を得て、はじめて私たちの生活に普及します。そこに至った過程や変遷、つまり"歴史"があります。例えば、現代生活に欠かすことのできないコンピュータ。開発当時の「大型計算機」は、扱うのに高度な専門知識が必要で、技術者や一部の専門家だけのものでした。今のように広く生活に根付いた背景には、小型化・高速化はもちろん、ユーザの目線に立ってデザインされ、特別な知識がなくても簡単に操作できるマウスと直感的なユーザインタフェースの開発が不可欠でした。

私は研究職に就く前、TV局で演出担当として、当時開発段階にあったハイビジョン映像の企画や、3D映像の放映に携わった経験があります。そうした最先端の技術を番組制作に取り入れるためには、さまざまな工夫が必要です。ブラッシュアップされることで、社会の中で新たな価値を獲得します。その過程を目の当たりにし、情報技術がどう社会と関わってきたのか、その歴史に興味を持つに至りました。このゼミでは、『科学・技術と社会の関わり』をテーマに、学生それぞれが見つけた研究課題を "歴史や過程の検証"を通じて分析・考察します。研究成果は論文ではなく、Webサイトとしてまとめる形をとり、学生は他人に見てもらうことを前提にしたデザインや構成など、効果的なプレゼンテーションや情報発信の在り方も学んでいます。ゼミがスタートする3年次の春学期は、リンク集サイトの制作に取り組みます。共通テーマは提示しますが、サブテーマは学生自身が決め、Web上にある無数の情報を、自分の論点に合わせて収集・整理します。この課題では、調査のプロセスを実践し、同時にサイト制作の基礎を身に付けることをめざします。

情報を収集・整理し、まとめる力とそれらを発信する力をWebサイト制作を通じて身につける。

続く秋学期には、全ゼミ生がチャレンジする『Webデザイナー検定』に向けて、さらに知識を積み上げていきます。学生のレベルはさまざまで、セミプロ並みの経験者もいれば、ネットサーフィンをする程度の学生もいます。この課題は、Webサイト制作に関する断片的な知識を整え、プランニングから実装に至る一通りの制作過程を学ぶ機会にして欲しいと考えています。何となく「Webサイトを作れる」のではなく、ゼミでの取り組みの成果として胸を張れるように、Web制作全体について正しく理解することを重視しています。

卒業制作のテーマは幅広く、ある学生はWeb上で、時系列データを可視化する手段として、もっとも適したインフォグラフィックスは何かについて研究しました。過去に新聞で実際に使用されたインフォグラフィックスを調査・分類しまとめ、データの目的に合ったグラフのサンプルを出力し、提案する機能も付加したサイトを制作しました。他にも、調査の一環としてインタビューに取り組む学生もいます。私は卒業制作のテーマ設定や研究内容に対し、具体的な答えは提示しません。多様な学生のテーマ・アプローチに合わせて、それぞれの学生の自主性を育む指導を心がけています。学生自身が見いだした問題意識をスタート地点に、そのテーマを歴史的な流れのなかに置いたり、必要に応じて実験を行ってまとめたり、さまざまな研究手法を採り入れます。その過程で論点を客観的に整理し、まとめる力を身に付けて欲しいと思っています。

students' COMMENTS

全員がWebサイトをつくれるようになるゼミ。

資格をとれたり、具体的な成果としてWebサイトを作れるようになることに魅力を感じて入ったゼミ生が多いですね。とは言っても、一握りの経験者をのぞいてほとんどの学生はWebの知識はゼロ。ゼミの活動を通じて、一から学んでいます。みんな仲がいいので、ゼミ生同士で連絡をとりあって知識を共有することもしばしば。私たちにとって喜多先生は、とにかくすごい先生。ですが気さくで、身近な存在でもあります。学生から出る、どんな分野の質問にもさらっと答える姿はかっこいい!。研究に行き詰まることもありますが、そんな時は学生自身が考え、軌道修正していけるように、アドバイスや打開するヒントをくださいます。

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映像分野など、幅広い領域で豊富な知識・経験をお持ちの先生です。

先生は大学で教鞭をとられる前に、テレビ局でディレクターをされていたこともあって、映像分野の知識も豊富にお持ちです。今でも、テレビ局やドラマの撮影現場を見学する機会を設けてくださったり、他のゼミではできない経験ができました。当時のお話を聞く機会はそんなに多くはありませんが、ふとした会話の中に、最先端の映像技術に触れてこられたというご経歴が垣間見られ、それが楽しみでもあるんですよね(笑)。ゼミ生の進路はさまざま。ゼロからはじめたWebサイト制作に興味を持って、制作分野へ進む学生もいますし、ゼミでの学びをそれぞれの形で活かしていますね。

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