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認知インターフェイス

加藤 隆

(オーム社/2002年11月刊/233頁)

認知インターフェイス

内容紹介

私たちの身の回りにはコンピュータをはじめ携帯電話やデジタルカメラなど様々な情報機器が溢れています。それらの情報機器がいくら優れた機能を備えていたとしても、その操作が難しくて使えなかったとしたら何にもなりません。利用者にとって操作がわかりやすく使いやすいかは、操作の手順や情報の表示方法などを決めているシステムのヒューマンインタフェースにかかっています。
本書は、情報処理学会編集ITTextシリーズとして出版されたもので、特に情報機器のヒューマンインタフェースに興味を持つ学生や企業人を対象に、人間の認知情報処理とHCI(人間とコンピュータの相互作用)について、読者がしっかりとした基礎を固められるようにとの目的で著したものです。

第1部では、"認知とは何か"、"なぜ認知なのか"という観点から、認知科学という学際的な学問分野の基本的な考え方を解説し、ヒューマンインタフェースにおける認知的要因の重要さを指摘しています。また、HCIをシステムのインタフェースという静的な構造と、ユーザとシステムの対話という動的な過程に分けて解説を試みています。

第2部では、人間の認知情報処理に関する認知心理学的知見を概観しています。HCIについて理解を深めるためには、人間が入力情報をどのように受け入れ、どのように内的に処理し、どのように行為として出力するかについて理解しておく必要があります。 ここでは、認知心理学で扱われる行動レベルの現象を中心に、なぜそのような認知的行動がもたらされるかについて考察しています。

ヒューマンインタフェースのデザインにおいて重要なのはシステムのユーザビリティ(使い勝手、使いやすさ)です。
第3部では、ユーザビリティをいかに高めるかという観点から、認知インタフェースのデザイン原理や評価方法について具体例を挙げながら解説しています。最後に、認知インタフェースの課題という観点から、ヒューマンインタフェースの展望について議論しています。

著者からのひとこと

本書は総合情報学部において著者が担当している「認知科学」と「ヒューマンインタフェース」という2つの講義科目の講義ノートを基に書いたものです。おもに1年次生対象の「認知科学」においては、本書の第1章と第3章~第8章までを講義しています。すべてのトピックを取り上げるのは時間的に無理ですが、人間が行う情報処理の認知的な特性を把握できるようにと、日常生活の体験に則して実験研究の成果を詳しく解説するようにしています。認知心理学に興味のある人にはまさに認知心理学の講義になっていますし、コンピュータに興味のある人には人間を情報処理システムと捉えて探求するアプローチと研究成果はいろいろと参考になるでしょう。また、ヒューマンインタフェースに興味のある人には人間の認知過程の理解は必須となります。ただし、認知科学という学問分野は人間の認知だけを扱うものではありませんので、この「認知科学」では、人間の知と機械の知の対比という観点から、人工知能のアルゴリズム(これは本書では取り上げていません)についても講義しています。

また、おもに3年次生対象の「ヒューマンインタフェース」では、第1章~第2章と第9章~第14章を対象に講義しています。まず、アナログ的存在としての人間がデジタル機器を操作することの困難さや、実世界に住む人間がコンピュータの作り出す仮想世界とかかわることの困難さについて理解が深まるよう努めています。コンピュータの技術は日進月歩の発展を遂げていますし、それにつれてコンピュータの利用形態も大きく変貌を遂げていますが、人間の認知の仕方や能力が同じように変化するわけではありません。近年、ヒューマンインタフェースの研究開発に携わる専門家の間で「人間中心のデザイン」が強調されていますが、この講義では、人間の認知特性に基づく不変的なデザイン原理について議論しています。

加藤 隆

目次

  1. まえがき
  2. 第1部 認知インタフェースの基礎概念
    認知インタフェースとは、人と認知的人工物のインタラクション
  3. 第2部 人間情報処理の認知特性
    知識の表象と処理過程、注意と遂行、記憶のしくみと符号化処理、記憶の検索過程、潜在的な認知、知識の利用
  4. 第3部 認知インタフェースのデザイン
    インタラクションの可視化、ヒューマンエラーへの対応、デザインにおけるトレードオフ、デザイン原理とモデルによるユーザビリティ評価、ユーザテスティングによるユーザビリティ評価、認知インタフェースの課題

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