キャンパスライフ

SOJOマガジン No.22 研究活動

SOJOマガジン一覧

SOJO MAGAZINE No.22 APR.2014 研究活動 今回は、システム開発コンテスト『ETロボコン2013関西地区大会』にて、見事総合3位入賞を勝ち取った広兼研究室のみなさんに研究活動についてお話を伺いました!

『ETロボコン2013関西地区大会』総合3位入賞おめでとうございます!
リーダーの村田さん、まずはメンバーを紹介してください。

村田さん(大学院生):ありがとうございます。このチームは、広兼研究室の大学院生である私と、学部3年次生の相尾君、上坂君、大田君、そして今日は欠席している谷高君、佐野君、北川君の計7名のチームです。

早速ですが、ETロボコンとはどんなコンテストなんですか?

村田さん(大学院生):簡単に言うとロボットにシステムを組み込んで、走行の正確性やスピードを競うコンテストです。各チーム同じロボットを使って競いますので、自分たちが開発・設計するシステムやプログラムの“質”が問われます。他の参加チームはシステム開発に携わる企業がほとんど。広兼研究室では毎年、大学院生をリーダーに有志の学部ゼミ生で参加するのが恒例になっています。

なるほど。システム開発に関する高度な知識が求められると思いますが、ゼミがはじまって間もない3年次生のみなさんは、大変ではありませんでしたか?

大田さん(3年次生):最初は大変でしたね。もともと、プログラムの経験はあったので、多少慣れていたつもりでしたが想像以上に難しく、試行錯誤の繰り返しでした。

相尾さん(3年次生):私も経験者でしたが、いくつも壁にぶつかりました。

上坂さん(3年次生):実習を通じて基礎知識はありましたが、まだまだ初心者レベルでした。プロジェクトを通じて、プログラムやシステム開発について学んでいきました。

試行錯誤を繰り返し、システムをブラッシュアップ。

本番まではどういった工程があるんですか?

村田さん(大学院生):最初は、ゼミで行う週一回の勉強会で、バラつきのある基礎知識の積み上げや、必要な技術の共有を行います。チーム作業では、プログラムの書き方・ルールはもちろん、さまざまな情報をできるだけ共有することがとても大切。こうした準備期間があることで、はじめは戸惑っていた3年次生も自主的に勉強するようになっていきました。私は、彼らの指導と同時に、適正を見極めてチームでの作業分担を決めていきました。

上坂さん(3年次生):私、大田君、相尾君の3人でプログラムのコードを書くことになって、村田さんを中心に残りのメンバーでUMLを担当することになりました。

“UML”とはなんですか?

村田さん(大学院生):ご覧の受験生や高校生のみなさんには、聞き慣れない言葉ですよね。UMLはとても高度で必要な知識も多く、私自身もまだ完全に理解したとは言えません。一言で説明すると、あるシステムを実現するための“設計図”。どんなプログラム言語や技術を使うのか、コースに沿ってどんな走行戦略を立てるのか...etc。プロジェクト全体の元になるものです。

複数の人が関わるシステム構築を、スムーズに進めるための“説明書”や“ルールブック”のようなものですか? 例えばプログラムはこのUMLに沿って書いていくんですね。

相尾さん(3年次生):もちろんUMLに沿ってコードを書くこともあれば、逆にプログラムの検討を先に行い、UMLに書き加えていく事もあります。

上坂さん(3年次生):コミュニケーションを取りながらUMLを更新して、ブラッシュアップしていきます。UMLには、どのようにシステムが組み立てられ、どのような動き(機能)を想定したものなのか、そのすべてが詰まっています。

なるほど。UMLを理解することはもちろんですが、とても実践的なプロジェクトですね。一番難しかったのは、どんな所ですか?

相尾さん(3年次生):本番の走行コースには、坂道や、バランスが必要なシーソー、ロボットの高さを調整させるゲートエリアなど、難所と呼ばれる障害物があります。それらをクリアするためのプログラム調整に苦労しましたね。

上坂さん(3年次生):シーソーでどうやってバランスを取るのか、そこが一番のハードルでした。

壁にぶつかった時は、どのように解決したのでしょうか?

大田さん(3年次生):過去の参加者がプログラムコードを公開しているので、参考にしながらですね。もちろんコピーして使えば、うまくいくという訳ではありません。笑。コードの前後の流れや、ほんのわずかなミスで想定した動きにならないことがあるので、まさに三歩進んで二歩下がる。少しずつ少しずつ課題をクリアして行きました。村田さんをはじめ、先輩やゼミ生にアドバイスをもらいながら、課題も共有して、一緒に考え・学んでいきました。

協力し合い取り組むグループワークの経験は、社会に出てからも役立つ大きな財産。

このコンテスト経験者でもあるリーダーの村田さんは、後輩たちのがんばりをどのようにご覧になっていましたか?

村田さん(大学院生):当初はプログラミングに関しても、私が具体的な指示を出すことが多かったですね。ですが、少しずつ自分たちで意見を出し合って検討したり、サンプルコードをカスタマイズしてみたり、自主的・積極的に取り組んでくれました。

このプロジェクトは、成長のとても大きなきっかけになりそうですね。

村田さん(大学院):そうですね。システム構築に限らず、何かを作る時、一人でできることは決して多くありません。そのことを実感して、よりよい結果を導くために、ディスカッションのやり方を工夫したり、作業効率を考えて統一ルールをみんなで作ってみる。そうしたグループワークの経験一つひとつが、この先ずっと残っていく財産になると思います。

3年次生のみなさんは、今回のプロジェクトに参加していかがでしたか?

相尾さん(3年次生):もちろん技術的には、自分でも驚くほど成長できたと思います。あらかじめ答えの用意されていない課題に取り組み、自分自身で考え答えを探していく作業は“研究” そのものですよね。これから卒業研究がはじまる自分にとっては、実践の中で研究活動を経験できたことは、とても大きかったと思います。

大田さん(3年次生):プロジェクトの間は、大変だったなというのが正直な感想です。本当にトライ&エラーの繰り返し、手探りの毎日でした。苦労した分、本番で自分たちのロボットがいくつもの難所をクリアし、見事にゴールしたときは最高の気分でした。やってよかったと思いますし、当初はあったプログラミングに対する壁を、ひとつ越えられたなと感じています。

上坂さん(3年次生):ひとつのテーマにじっくり、根気強く取り組めたのは大きな自信になりました。来年度は、卒業研究もあるので難しいかもしれませんが、チャンスがあれば、今回は叶わなかった全国大会出場をめざして、もう一度挑戦したいです。システム構築をはじめて経験してみて、やっと見えてきたこともたくさんあるので。

では、最後に総情をめざす高校生や受験生にメッセージをお願いします。

村田さん(大学院生):ロボットやプログラミングに興味はあるけど、文系の自分には無理だと考えている方も、ぜひ一度挑戦してみてください。総情ならできますから。プログラムは、何も理系出身の人だけのものではありません。例えば整理整頓が好きな人はきっと、プログラミングの適正があると思いますし、苦手意識で引いてしまわずに、とにかく触れてみることが大切なんだと思います。

(2014年度掲載)

このページの先頭へ