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SOJOマガジン No.05 海外体験

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SOJOマガジン No.05「海外体験」

フレンドリーなフィリピンの人たち。すぐにうち解けることができました。

私の所属するゼミは、長期休暇を利用した海外でのスタディツアーを行っています。昨年の夏期休暇はフィリピンでの3週間のスタディツアー。行く前からドキドキワクワクでした。 事前学習では参加メンバーと勉強会を開き、書籍やインターネットでお国事情や文化について調べました。メンバーが持ち寄った情報は『衛生環境が悪い』『伝染病が心配』など、ネガティブなものがほとんど。
でも、現地の人たちとの交流を通じて感じたのは、皆さんフレンドリーで笑顔に溢れ、エネルギッシュだということ。行く先々で大歓迎を受けました。訪れた地域の言葉はタガログ語とピサイア語。身振り手振りでのコミュニケーションを想像していましたが、小学生から英語教育を受けている子供たちとは片言の英語とジェスチャーですぐにうち解けることができました。なにより私たちとの交流を楽しんでくれていることがわかり、とても嬉しかったです。あらためて実際にふれ合うことの大切さと、コミュニケーションの素晴らしさを感じることができました。

大切なのは、『違い』を楽しみ、理解しようとする気持ち。

現地の生活の中に飛び込んで同じ目線で感じてみよう、日本を身近な存在として親しみを持ってもらおうと、お客さん的な一方通行の交流にならないように心がけました。滞在中は小学校や高校、大学、カルンピットにある“リンガップ”と呼ばれる、学校にいけない子供たちの施設を訪れ、英語で日本文化を紹介する教室を開きました。日本の伝統衣装として浴衣を紹介したり、子どもたちと一緒にはっぴで阿波踊りを踊り、日本の祭りを体験してもらいました。 日本のアニメやマンガもとても人気があり、思わぬところで共通点があったことも嬉しい驚きでした。 目を輝かせながら、私たちの話に耳を傾けてくれる子供たちを見ていて、ほんの小さなきっかけさえあれば異文化間のコミュニケーションは決して難しいことではないと実感できました。 大学訪問では、同世代の学生と互いの習慣や文化の違いについて議論を交わす機会があり、自分の視野を広げる貴重な経験となりました。

心に強く焼きついた、子供たちの笑顔。

今回のスタディツアーの大きな目的として、日本のドキュメンタリー番組でみたダンプサイト(廃棄物処分場)でゴミを拾い生活する子供たちの実情調査がありました。 訪れるまでのイメージは、『最悪の衛生環境のなか、教育を受ける事もできない悲惨な状況』というもの。 しかしダンプサイトで実際に出会った子供たちは生き生きとして、はつらつとした純真な笑顔を私たちに見せてくれました。 確かに貧困問題や教育機会を与えられていないという問題は、子供たちのこの笑顔を守るためにも解決しなければならない大きな問題です。
しかし、さまざまなメディアを通じて私たちが知らず知らずに得ている情報には脚色され、誇張されたものがたくさんある事も事実です。 子供たちの笑顔を見て、相互理解や本質的な問題解決の為には、ありのままの現実を知り、実情の正しい理解が不可欠だと感じました。

海外体験を通じて広がった視野。

帰国後、参加メンバーでグループに分かれてこのスタディツアーで体験した、異文化交流の素晴らしさ、難しさ、現地で感じたことをまとめ大学祭や他大学・高校などで発表を行いました。私たちの発表を見た人たちが少しでも異文化への理解を深め、世界に目を向けるきっかけになればと思っています。
私は中学生の時にもアメリカへの留学経験がありました。しかし、その時と今回の印象は全く違うものでした。日本とアメリカでは生活の中で感じる大きな違いはほとんどありません。フィリピンでは生活リズムをはじめ、気候、文化、経済、政治などありとあらゆる点で日本とは大きな違いのある国です。そして全く異なる国での体験を通じて、視野が広がり自国についても再認識することができました。
今後は、この体験で学んだことを活かして大学生活を充実したものにしていきたいです。 そして私たちを笑顔で迎えてくれた、あのダンプサイトの子供たちのために何かできることはないか、海外支援にも取り組んでいきたいと思っています。

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(2008年度掲載)

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