おからと酒粕という2種類の食品廃棄物を、水を臨界点に近い状態にした「亜臨界水」で加水分解し、生活に有用な物質を精製する研究を行っています。以前からエネルギー問題や、食品廃棄による環境汚染の問題に興味があったことから、この研究テーマを選びました。実験は「材料を反応器に密閉して、電気炉で加熱する」方法で進めています。単純そうにみえて、安定した結果を得るのはなかなか難しいのです。たとえば150℃という設定温度にするため、1分10秒かかる時もあれば、1分よりずっと短い時もあるなど、反応条件が不均一になりがちです。現在行っている「回分操作」(1回ずつ反応させる)では加熱途中でさまざまな反応が起こり反応の制御が難しいため、「連続操作」(反応媒体を連続的に送入する)に変更しようと考えています。そうすれば、目的の反応に対して反応時間と温度・圧力を最適に保つことができるからです。このように実験を進めるには苦労もありますが、多くの有用成分が製造できたときは喜びを感じます。食品廃棄物の亜臨界加水分解から得られる高濃度の糖を原料として、エタノール(バイオ燃料)、乳酸(生分解性プラスチック原料)などを発酵法によって製造でき、また乳酸などの有機酸を亜臨界加水分解によって直接製造できるのもおもしろいところです。捨てられるバイオマスから新しく役に立つものが製造できて、環境保全につながる点がうれしいですね。