学部概要

専修紹介

経済学は、身のまわりの日常から地球環境に至るまで、あらゆるテーマを対象とする学問です。経済学を学ぶことによって、現代社会が抱えるさまざまな問題を把握し、その解決に向けた足がかりを得ることができます。ここでは経済学部の7専修の教員が各専修の特徴的な研究対象やものの見方・考え方などについて解説します。
  • 金融・会計専修

    援助は役に立っているか?

    発展途上国にとって日本の援助は重要な開発資金となっています。援助が実際に役立っているかについて関心がある人も多いのではないでしょうか。近年、政策は証拠に基づいて検討されることが多く、援助が有効かについても活発に議論されています。
    10年ほど前に世界銀行の研究者が「良い政策の国でのみ援助は効果的である」という証拠を示し、その研究は世界の援助政策にも大きな影響を与えました。ところが、多くの研究者が検討したところ、その証拠は正しくないことが後に示されました。このように、ある研究成果がその後の研究で否定されることはしばしばあります。
    どのようなときに援助は効果的なのかについては未だに結論が出ていません。結論が出ない、役に立つ成果が得られない研究は無意味だと思う人もいるかもしれません。しかし、それは誤解です。わからないことがあるからこそ研究が必要となります。教科書の知識は先人たちの努力と長い議論の結果です。大学で学ぶことは、次世代に伝えるべき新たな知識の創造に参加することなのです。

    春日 秀文 教授

  • 歴史・社会専修

    アジア経済のいまを歴史的に考えてみる

    世界金融危機以後、欧米諸国の経済が失速し、日本経済もさらなる停滞を余儀なくされているなか、インドや中国といった新興国の台頭は今や世界の注目を集めています。しかし、インドや中国が世界経済において重要な地位を占めるようになったのは、20世紀後半が歴史上初めてというわけではありません。
    ケネス・ポメランツをはじめとする「カリフォルニア学派」の研究者たちにより提起されたGreat Divergenceに関するさまざまな議論によれば、18世紀末の段階で世界のGDPの半分以上はアジアで作り出されており、インドや中国はおおきな割合を占めていました。
    これらアジア諸国で工業化を達成した国は、いずれの場合も人口圧力を内包した農業中心の経済を端緒としている点で共通点がありますが、その工業化のパターンや世界経済との結びつき、そしてどの産業に比較優位をもっているかなど、それぞれ初期条件におおきな差異が存在します。
    ゆえに本当の意味でアジア諸国のいまを理解するためには、現状分析だけではなく、歴史的な視座から考えてみなければ、その本質に迫れないのではないでしょうか。

    西村 雄志 教授

  • 国際経済専修

    世界のさまざまな国の経済を学び、そのつながりを意識することで、自分自身を再発見し、未来へ向かう知恵を身につける

    世界のさまざまな国についてあなたはどれくらい知っていますか。知っているようなつもりでいても、例えば人びとの暮らしについて具体的に想像することは難しいのではないでしょうか。
    日々の生活の中で少し注意してみると、私たちの暮らしがさまざまな物を通じて世界の国々とつながっていることに気が付きます。例えば、日々消費しているさまざまな商品について、製造過程や原材料に至るまですべてが日本製であることは、あり得ません。電気やガスなどの暮らしに必要なエネルギーも、ほかの国々で産出される天然資源などを利用しなければ十分な供給は不可能になるでしょう。そして、これらの物質的なつながりの向こう側にはさまざまな国のさまざまな人びとの暮らしがあるのです。
    一方で、モノやお金の流れがグローバル化し、また、情報化によって瞬時に世界中のどこかにいる誰かとつながることができるような時代になった今日でも、自然環境や資源賦存など、国境によって分けられた人びとの間には厳然たる差異や距離だけではない垣根が存在しています。
    このため、国際経済専修では、経済学を学んで全体的な世界経済の仕組みを理解するだけでなく、アジアやヨーロッパなど、特定の地域に関する研究を通じて、世界の動きをより具体的にとらえ、将来を見据える目を養うことを目標にしています。

    神江 沙蘭教授

  • 経済理論専修

    市場の働きを科学的に考える

    市場メカニズムとは何かと問われると、「需要曲線と供給曲線の交点で価格が決定される仕組み」と答える学生が多いに違いありません。これを常識にした学問が経済学なのです。この「需要と供給の法則」をめぐって3つの重要なテーマがあります。
    1.均衡価格は「存在」するのか?―均衡価格が存在するためには需要曲線と供給曲線が交点を持たなければなりません。例えば、需要曲線が途切れているとしたら、均衡価格は存在しないのかも知れません。「均衡価格の存在」が数理解析として証明されたのは、およそ60年前のことです。
    2.均衡から離れた価格は元どおり均衡へと戻ってくるのか?―時間の経過とともに需要量=供給量を導く価格にたどり着くことは習っているかと思います。経済理論では、これを微分方程式によって解析します。
    3.均衡価格は「望ましい状態」か?―経済理論は均衡状態が「望ましいか否か」まで数学によって解析します。この点は自然科学系の学問と比較して著しく異なる特徴です。この問いかけへの答えは「厚生経済学の基本定理」と名付けられており、最も大事な定理の1つとなっています。
    社会に潜む数理を学習することが本専修のテーマです。

    坂根 宏一教授

  • 公共経済専修

    経済における公共部門の意義と役割

    市場を通じた調整に重きが置かれる今日の経済にあっても、公共部門の行う経済活動は非常に重要です。しかしながら、今日の経済社会において市場は万能ではありません。市場を通じた経済活動では、個人は最も満足度が高くなるように生活し、企業は最も利潤が高くなるように生産を行うことになりますが、そのためには社会の安定や市場の秩序が守られるとともに、社会的なインフラなどの環境が整っていなければなりません。
    公共財の供給、貧因への対応、環境の保全、多様な経済政策の展開等々、これらは市場における経済活動のみでは実施することは難しく、公共部門(政府)による取り組みが必要です。そしてそれには、直接的な支出や課税、産業政策の策定や運用、また法律による規制といった方策が取られます。今日では、日本を含む先進諸国では各国の経済活動の規模を表すGDPの4割や5割を公共部門の経済が占めています。
    公共経済専修では、マクロやミクロの基礎的な経済理論を土台として各教員の専門分野の講義を進めます。ゼミ(経済学演習)では、関連する経済社会問題を取り上げ、理論的あるいは実証的な分析を用いて学びます。

    林 宏昭教授

  • 産業・企業経済専修

    企業行動と産業に対する理解を深める

    企業の行動はさまざまな形で私たちの暮らしに結びついています。例えば、企業の販売戦略は消費者である私たちの日々の消費や生活に影響を与えます。また、企業の採用行動や人材育成の方針は労働者でもある私たちの将来に直結します。一方、企業合併や企業間の提携などが行われ、新聞等で報道されたりしています。農業、流通、地域経済や中小企業など産業や企業と密接に関連する重要な問題も存在します。
    こうした企業行動が与える影響の理解には、経済学の道具を使うことが有効です。この点を雇用という観点から見てみましょう。例えば、労働者保護のため、労働者を解雇した企業に対し、政府が罰金を課す政策を導入したとします。一見すると労働者に望ましい政策のように見えます。しかしながら、企業側からみると、将来不況になっても容易に解雇できなくなるため、企業は労働者の新規採用に慎重になり、雇用に悪影響を及ぼすかもしれません。こうした政策が企業の行動や雇用に与える影響を理解するためには経済学が欠かせません。
    産業・企業経済専修では、企業の行動や産業の特徴を研究対象として、経済学という強力な道具を使って理解を深めます。

    野坂 博南教授

  • 統計・情報処理専修

    統計学の意義と役割

    統計学というと、数学だ、難解だ、縁がないという印象を持つ学生が多いと思います。実際、高等学校では数学の一部のため、文系学生がそのような印象を持つのもやむを得ない面はあるでしょう。しかし世の中にはデータがあふれ、それをどのように統計処理するかが成功の鍵になることも多いのです。既に1990年代初頭に、ロバート・ライシュは「知識社会ではシンボリック・アナリストが主役になる」と説いています。
    ここでシンボルとはデータ、言語、映像、音声等を指します。これらを分析することによって問題を発見し、必要な人材や資材を集め、問題を解決する専門家が主役になるということです。その際に必要となる重要なツールの一つが統計学なのです。統計学はもともと、社会科学の女王と言われてきた経済学と特に関係が深かったのですが、最近では医学、経営学、会計、社会学など、あらゆる学問分野で統計分析が行われています。何らかの知見を主張するには統計的な裏付けが必須になっているのです。そして、統計分析を行うには情報処理の知識が必要になります。
    単なる印象で統計学を毛嫌いしているだけでは何も始まりません。統計・情報処理専修では、消費や経営、交通、環境等を題材に統計を易しく学びます。

    松尾 精彦教授

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