学部長・研究科長挨拶
商学部は、1906年、商業学科としてスタートしました。商学部の特徴は、関西大学の教育理念である「学の実化」の精神を実践しているところにあります。学の実化とは聞きなれない言葉でしょうが、学問と実際との調和を図り、現実に根ざした学問を究めることを指します。経済や産業、企業で起こっている問題について自ら仮説を立て、それを科学的に検証し、問題解決へ向けての筋道を示すということです。現実の経済社会は複雑を極め、どこに問題があるのか、その所在さえ明確でない場合が少なくありません。そうした局面においてこそ、論理的な思考力と実行力が求められます。既存の知識を学ぶことの重要性は、いくら強調してもし過ぎることはありませんが、それにとらわれたままでは進歩も発展も望めません。古人は、俳諧におけるきまり事(型や式目)を「格(かく)」という言葉で表し、次のような言葉を残しています。
格に入りて格を出でざる時は狭く
格に入らざる時は邪路に走る
格に入り、格を出でて、初めて自在を得べし「祖翁口訣」
古人の言う「格」を既存の知識体系という意味に解釈すれば、これは学問の世界にも通じます。既存の知識を体系的に学ぶだけに終始せず、それを礎に創造的な発想を広げ、科学的な思考を展開してこそ、将来が切り開かれるのです。私たち日本人にとって、欧米の経済に追いつくことが目標であったキャッチアップの時代はとうに過ぎ去り、世界のフロントランナーとして新しい知を創造していくよりほか、現在の生活水準を維持し高めていくすべはなくなりました。商学部は、このような時代を生き抜いていくための実学として「商学」を位置付け、個性あふれるカリキュラムを備えています。特に、BLSP(ビジネスリーダー特別プログラム)、BestA(海外ビジネス英語プログラム)、DSIプログラム(プロセスイノベーター育成プログラムの開発) 、CORES(ビジネスプラン教育プログラム)などは商学部独自のプログラムです。こうした新しい試みは、語学教育や情報処理教育の徹底、少人数教育や演習の充実、必修科目を通じての早い段階からの専門教育の開始といった従来からの教育実践に、その基礎を置いています。
商学部は、激動する経済環境の中にあって経営に対する柔軟な思考力や広い視野、鋭い洞察力に加えて、企業倫理と社会的責任に対する深い認識をも併せ持つ人材を育てることを目標としています。そこで、商学部は、「品格ある柔軟なビジネスリーダーの育成」を学部の教育理念として掲げ、それを実現すべく、「流通」、「ファイナンス」、「国際ビジネス」、「マネジメント」、「会計」の5専修を設け,多様な専門分野について学習できるようにカリキュラムを編成しています。学生諸君は、たとえばマクロ的な視点から経済・産業と企業との関係を分析することもできますし、ミクロ的な視点から企業経営それ自体を経営組織、経営戦略、マーケティング、ビジネス・エシックス、会計などに重きを置きつつ考察することもできます。また、演習等さまざまな形で個別指導を受ける機会が開かれています。このように、学生諸君が自らの問題意識に応じて、上記の5専修からいずれか一つを選択し、その分野に軸足を置きながら専門的知識や能力を身につけることができるようにカリキュラムを編成しています。また、学習の場はなにも教室の中だけにはとどまりません。上で紹介したBLSPでは、米国のシアトルに出向いて、ワシントン大学の先生や学生たちばかりでなく、地元企業(スターバックス社やマイクロソフト社)の人たちの前でも英語によるプレゼンテーションを行い、他方、BestA(ベスタ)では、英国のヨークを訪れ、ヨーク・セント・ジョン大学で本学部生向けに特別に用意された授業を受けると共に、1日就労体験やトラベルプロジェクト等も行います。変化の激しい経済・経営環境の下でビジネスリーダーとして活躍していくためには、実践的なビジネス英語力が不可欠であるとの認識が、こうしたプログラム設置の背景にはあります。
大学院商学研究科は、「戦略マネジメント系」、「流通・国際ビジネス系」、「ファイナンス・会計系」という三つの系から構成されています。カリキュラムは、理論、実証、実践の間のバランスに配慮してデザインされており、理論面と実証面での教育・研究を担う教員に加えて、実践面における教育の担当者として実務家を招き、授業を提供することで、学生諸君は特定の分野に偏ることなく、多様な学問分野の知識や方法論、視点を学習することができるようになっています。このような方針に基づいて、公認会計士や税理士といった高度専門職業人や研究者を養成することを目的としています。以上の説明からも明らかなように、大学院での教育・研究は学部教育と密接な関係を保ちながら進められています。特に、5年一貫教育では、学部の4年次に大学院の科目を受講することで、通常であれば6年かかるところを5年で、学部卒業に加えて大学院前期課程修了も可能になっています。さらに、本学の会計専門職大学院(AS)との連携を一層緊密なものとするため、3年間で学部を卒業後、直ちにASへ進学する早期卒業制度も、2009年度入学生より導入しています。










