カリキュラム

教員エッセイ

第37回自らを育む学生達

商学部教授  齊野 純子(会計専修)

 2013年春、関西大学に着任した際に抱いた学生に対する印象は、「真面目で大人しい」であった。以来3年を経る間に目の当たりにしたのは、自然体で素直に伸びていく学生の姿である。
 2年次の演習にプレゼンテーションが苦手だという学生がいた。論理的な思考を如何に表現するかが問われる昨今、どうしたものか...と案じていたが、直にその心配は無用であると思うに至った。ディスカッションのテーマを提供するよう求めた際、その学生は自ら意識して、他の学生が意見しやすい論点の豊富なテーマを選んできた。常に切り込み隊長の如く意見を述べたうえで、他の学生に意見を求めていた。2年が経ち、いまではプレゼンを課されても十分に成し遂げられるであろうと期待されるまでになっている。
 同じく2年次の演習に寡黙な学生がいた。時事問題に集中的に取り組んだとき、その学生は報道番組を積極的にみるようになり、番組から得た知識や専門家の見解を参考にして、自分の意見を述べるようになった。卒業研究を進めている現在、他の学生の研究発表に対し、「どうすれば、より良くなるか」という視点に立って鋭い指摘を行っている。
 関西大学の学生は、おおらかな学風のなかで、自然体のまま自らを育み、思いがけない成長をみせる。自分は学生を教えているのではなく、学生に教えられていると、いつも思う。学びに対する実直な姿勢や柔軟な発想は、それが自らの可能性を左右するからこそ大切であるという基本を教えられているのである。このことを様々な場面を通じて学生に伝えることが、曲がりなりにも教える立場にある自分に与えられた課題であると、肝に銘じて今日も演習に臨んでいる。

『葦 2016. №165 秋冬号』より

2018年03月30日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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