カリキュラム

教員エッセイ

第32回大学教育の方向性

商学部 教授  カーティス・ハート・ケリー(国際ビジネス専修)

 大学における教育はどのように変化しているのか。私は教員として常にこの問題に注目しており、興味深いことがある。ここでは、その中の5つのとトレンドを述べよう。

1) 問題解決へ繋がるプロセスを教える
 私たち教員は 情報そのものを教える前に、問題の解決方法を教えている。情報はもはや特殊な知識ではない。すべての人がウェブを通じてすぐに入手可能なものとなっているからである。

2)教員中心から学習者中心へ
 1で述べた変化により、学生に知識を暗記させることではなく、多くの問題解決方法を教えることに教育の重点が移行することになる。この結果、教育は教員中心のアプローチから学習者中心のアプローチに移行することになる。

3)生涯教育のブーム
 現在、成人教育ブームの初期的段階にいる。今日の複雑化した社会では生涯教育は一般的で、ほとんどの成人は何らかの学習プロジェクトに関わることになるだろう。

4)神経科学は教育方法を変える
 神経科学者は日々、脳について新しいことを発見している。その中で驚くべき発見がある。一つ例を挙げると 、睡眠や運動は学ぶために必要である。教室に一日中座っていることや、遅くまで起きていることは記憶をすることに不利になる。十分な睡眠を取ろう。

5)脳は 「意味のあること 」を望んでいる
 誰にも経験があると思うが、授業で何かを学んでいるとき、なかなか身に付かないことはないか。それには理由がある。脳は自分で何を学ぶか、学ばないかを決めており、無意識のうちにそれを行う。このような働きを脳は約80%している。脳は私達の人生に意味のあることを自動的に集中させている。

 例を挙げると、今すぐに必要なこと、コンピューターの使い方や、どのようにすれば人間関係がうまくいくかなど、無意識のうちに学ぶ。しかし、将来に役立つ知識だとわかっていても今すぐには必要でない、と脳が判断すると学びにくくなる。

 上記で述べた結果により、私たち教員は学習者にとって意味のある教育を与える「改革的な学習」を実践するように努めている。
 このように教育に関して様々な研究がなされている今、教育の方向性が変化をしている。これからも若者達が更なる社会の発展を目指すことを望みつつ、私たち教員も常に若者たちに何を与えられるのか探求し続けたいと願う。

『葦 №152号』より(一部加筆修正)

2013年02月01日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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