カリキュラム

教員エッセイ

第27回縁は異なもの

商学部 教授  廣田 俊郎(マネジメント専修)

 ダイナ・ワシントンという歌手の歌で"What a difference a day makes!"という曲がある。
「たったの1日がかくも大きな違いをもたらすものなのか」という意味である。それを思い出したのは、以前に、飛鳥の植田記念館にゼミ合宿で出かけ、帰途に着いたとき、飛鳥での滞在がわずか24時間であると気づいたことがあったからである。

 橿原神宮前駅からバスで飛鳥寺に向かい、日本最古の寺の見学を行った。その昔、中大兄皇子と中臣鎌足とがここで歴史的な出会いを行い、その後の密談をふまえて大化の改新に至ったという場所である。飛鳥寺を通り抜けて奥の方にある蘇我入鹿の首塚なるものも見学した。

 その後、酒船石を訪れ、バス道路に戻ったところ、視界の先に丘が広がっているのが見えた。これは何という丘なのかと思いながら、石舞台に向かったが、そこからも、例の丘を見ることができた。石舞台から40分ほど歩いて植田記念館に到着した。夜にゼミを行い、翌日も午前にゼミを行って昼前に植田記念館を離れた。タクシーで文武天皇陵に向かい、そのあと高松塚を訪れ、高松塚壁画館で壁画の再現モデルを見た後、国営飛鳥歴史公園館に立ち寄った。

 そこには、飛鳥地域のミニチュアモデルがあり、前日気になっていた丘が、かの有名な甘樫丘であることが分かった。蘇我入鹿の館もそこにあったという。飛鳥歴史公園館で、仏教伝来や、大化の改新のエピソードのビデオを見る中で蘇我入鹿が中大兄皇子によって討ち取られるシーンなども見て、前日の首塚を思い出した。たったの1日で、飛鳥の地の歴史のエッセンスを見ることができた。

 このように、違いをもたらす1日を積み重ねて、視野を広げていきたいものだと思った。なお、ダイナ・ワシントンの歌のタイトルの邦訳は「縁は異なもの」であった。

『葦 №137号』より(一部加筆修正)

2011年09月16日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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