カリキュラム

教員エッセイ

第23回グローバル化の海に漕ぎ出す

商学部准教授  西村 成弘(マネジメント専修)

 2009年の夏休みの終わりに3年次生ゼミを引率して中国上海市を訪れた。そのときジェトロ上海センターを訪問したのだが、私と同世代の部長さんに「われわれの学生の頃はバックパックを背負ってよく外国に出かけたけれど、最近の若い人はあまり出かけられないですよね」と言われた。
 確かに今の学生はあまり積極的には海外に出て行かないのかもしれない。グローバル化が身近なところまで及び、航空券の価格も安くなり、海外に出かけるハードルは確実に低くなっている。しかし、私のゼミでも数名を除いて、今回の旅行までパスポートを持っていなかった。

 私はためらう学生をやや強引に説得し、海外へと連れ出した。しかしその甲斐はあった。ほとんどのゼミ生が日本と中国との文化の違いに強い衝撃を受けたのだ。
 たとえば中国のレストランにいくと接客サービスがまだまだよくない。最近はサービスを改善し、日本のような「おもてなし」の心配りをするところも少しは出てきてはいる。しかし店員が笑顔で接客しなかったり、箸や釣銭を放ったりするという場面に出くわすことは、ゼミ生にとって想像を超える衝撃だったようだ。

 異文化に触れて衝撃を受けることは、悪いことではなく、むしろ良いことである。しかしその衝撃を衝撃のままでとどめて置くのか、一歩進んで社会や文化の違いを理解するきっかけとするかは、成長の上で天と地ほどの差がある。大学で身につけるべき教養は、教室における学習も重要だが、フィールドで五感を働かせて対象を理解することからも得ることができる。
 ゼミ生には、上海で経験した衝撃や、訪問先で実感したグローバル化の風を理解し、それを実践的な教養として身につけ、グローバルな環境の下に主体的に生きる関大生として成長してほしい。

(追記)2010年度は中国広州市を訪問しました。今年の3年次生諸君も日本との文化や習慣の違いを肌で感じ、その経験を秋学期の研究にいかしています。写真は2010年度のものです。

『葦 №144号』より(一部加筆修正)

2010年12月09日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

☆2010年度3年次生ゼミ旅行(中国広州市にて)☆

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