カリキュラム

教員エッセイ

第21回目に見えないサービスを科学する

商学部教授  矢田 勝俊(マネジメント専修)

 サービスは経済活動において非常に大きな比重を占め、その生産性向上の必要性が認識されつつある。サービスは目に見えないものだけに、製造業などと比較して体系的な理解が十分に進んでおらず、「勘と経験」に頼ったやり方が中心であったと言える。そうした中で近年、情報技術の進展によりサービスの生産や消費から生じるデータが急速に蓄積されるようになっており、こうしたデータ資源に科学的・工学的手法を適用してサービス生産性を向上させる試みに注目が集まっている。サービスサイエンスとは、サービスに科学的・工学的手法を適用し、その生産性を向上させようとするアプローチを指す。

 平成20年、関西大学商学部では文部科学省「産学連携による実践型人材育成事業-サービス・イノベーション人材育成-」において、「プロセスイノベーター育成プログラムの開発」が採択された。このプロジェクトの目的は、学部学生を対象にして、ビジネスプロセスを科学的かつ実践的に分析できる「プロセスイノベーター」の育成・教育プログラムを開発することである。

 このプログラムでは、小売業メーカーとの共同プロジェクトにおいて、データ解析から企画立案までを行い、販売促進戦略、広告企画、商品・サービス開発企画案を立ち上げ、実際に小売店やネット上で企画を実施、検証も行うことで、実践的なスキルを学生が獲得するものである。教材開発では国内外のコンピュータサイエンスの研究室と協力関係を結び、外部リソースを効果的に活用しながら、プログラムを推進している。本学はこうしたサービスサイエンスの国内研究・教育拠点として採択され、今後、産学共同研究を通して当該領域を先導することが求められ、学生教育のさらなる発展が期待される。

『葦 №143号』より(一部加筆修正)

2010年08月10日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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