カリキュラム

教員エッセイ

第14回全国学生保険学ゼミナールに参加して

商学部准教授  徳常 泰之(ファイナンス専修)

 RISに参加するようになり、早いもので5年が経過しました。

 RISとは、全国学生保険学ゼミナール(Risk and Insurance Seminar, RIS)の略称です。全国の大学における保険論関係科目を担当している教員有志のゼミナールを中心に、年1回集まって合同で研究発表会を行うものです。 2004年(主催校:近畿大学)から始まり、2005年(中央大学)、2006年(関西大学)、2007年(一橋大学)、そして昨年(2008年)12月に開催されたRIS2008(長崎大学)でもう5回目になりました。設立当初は6大学80名程度の規模でしたが、回を重ねるごとに参加大学、参加人数ともに増加し、RIS2008では13大学約200名のゼミ生が参加する非常に活気のある研究報告会へと成長しています。

 RIS では各ゼミに所属する3年次生のゼミ生が活動の中心となります。担当教員の指導を受けつつ、「リスクと保険」に関してゼミ生が自分たちで設定した研究報告テーマを、掘り下げて研究し、互いに切磋琢磨するために、全国大会、中間報告会ならびにキックオフミーティングといったさまざまな活動を行っています。

 4月にゼミが始まり、ゼミ生が少しずつペースをつかむ中で、地域ごとにキックオフミーティングを開催します。初夏に開催するキックオフミーティングでは、ゼミ交流の第一歩の場であり、これから全国大会に向けてのゼミ生の意識を高めていくため、リスクや保険に関する基礎的な内容を確認するための場です。
 夏休みを挟み、各ゼミが全国大会に向けて本格的に作業を進める中で、中間報告会を開催します。晩秋に開催する中間報告会では、全国大会が約1ヵ月後に迫る中、自分たちの研究報告の進捗状況を確認し、他大学のゼミがどのような報告をするのかなどを確認するための場所で、そこで浮かび上がった問題点を修正し、全国大会に備え、仕上げていくための場です。
 12月に開催される全国大会では、参加各ゼミ生がそれまでの期間、担当教員による指導を受け、研究してきた内容の報告を行います。報告テーマは幅広く、保険やリスクマネジメントに関する研究報告だけではなく、ファイナンス、社会保障の分野に関する研究報告もあります。ゼミ生たちによるこれまでの研究成果の報告が行われ、また参加している他大学のゼミ生や休日返上で駆けつけていただいた業界関係者からの質疑応答も非常に活発に交わされています。もちろん懇親会も実施し、親交を大いに深めています。

 12月の全国大会に来るまでの道のりはゼミ生、教員ともに決して平坦なものではありませんが、RISに参加し、研究報告するという目標を設定することにより、ゼミ教育における大きな柱が1本通ることになりました。私のゼミでは毎週水曜日の午前中にゼミを行います。それが終わっても暗くなるまでゼミ生が自主的に集まり、テーマに沿って掘り下げ、論理展開をし、ゼミ生間で活発に意見交換をしています。
 その過程で、前年度にRISの舞台を経験した4年次生の存在は非常に大きいものがあります。「経験」という無形の財産を3年次生に引き継ぐという大きな仕事は、ゼミ3年次生、4年次生間相互の交流を深めるという大きな効果をもたらした点は、想像していた以上の相乗効果を生み出すことになりました。
 RISにおいて研究報告をすることで、ゼミ生だけでなく、教員も大きく成長することができたように思います。
 RISが存在するからこそ大学生という極めて多感な時期に、「保険・リスク」という共通言語を持つ学生たちが大学の枠を超えて切磋琢磨することがこれまでできてきました。参加したゼミ生たちの研究報告は大学教員のみならず保険業界やその他の業界からも非常に高い評価を受け、時には厳しく、また時にはやさしく叱咤激励されておりましたので、参加したゼミ生達は大きな自信をつけることになり、目覚しい成長を遂げてこの1年間の活動を振り返るに相違ありません。事実、ゼミ生やゼミOBのRISに対する評価は極めて高く、一様に「RISに参加できてよかった」と感じているようで、非常に教育効果が高いと実感しています。

 RISでは、さながら学生版の「学会」のような存在ですが、こうしたインターカレッジでの活動を行うことによって、全国の「リスクと保険」分野を学ぶ学生が、大学を卒業した後でも継続的に交流し続けるためのプラットフォームになることも期待しています。
 RISに参加している教員の「このような機会をリスク・保険分野から創っていきたい」という思いがRISの理念の根本にあります。こうした大学の枠を超えた活動は、全国のリスク・保険を学ぶ学生が卒業後も継続的に交流し続けるきっかけのひとつとなりつつあります。
 近い将来に、RISの参加者の中から業界をリードする人材が輩出されることにつながることを期待しています。



2009年06月08日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

☆RISでのゼミ生の発表の様子☆
RISでのゼミ生の発表の様子

  ☆RISに参加したゼミ生の様子☆
RISに参加したゼミ生の様子

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