2016.12.05
11月15日(火)の5時限(16:20-17:50)に、関西大学千里山キャンパス第2学舎1号館B401教室において、防災士・陸前高田米崎小学校仮設住宅自治会長の佐藤一男氏を講師に迎え、「東日本大震災から学ぶ支援と防災のあり方」というテーマで商学部学術講演会を開催しました。
商学部生を中心に、学外からの参加も含めて100名以上の聴衆がありました。
佐藤氏は、現場で実際に起こったことを引き合いに出しながら、避難所と仮設住宅自治会の運営経験を語っていただきました。例えば、避難所に届いた救援物資は、誰でも見ることができる場所に保管し、物資を配布するときは避難所運営を任されている役員は最後に受け取るようにすることで、避難所運営の信頼性を高めたそうです。仮設住宅においては、野菜の苗と土とプランターを支援してもらうことによって、全戸にそれらを配布・設置して住民が水やりなどの世話をするようにすることで、引きこもりを防ぎ、安否確認が容易になり、隣近所の交流も生み出すことができたことのお話がありました。
加えて、自らを災害から身を守り災害を最小限に抑え「減災」のためには:
(1) 安全な場所にいるのかを知る(自宅が1981年に施行された建築物の新耐震基準を満たしているかなど)、
(2) 地震のときにケガをしない(家具を固定しているかなど)、
(3) 安心して避難する(ハザードマップや避難所を把握するなど)、
(4) 引きこもるための準備(非常用持ち出し袋の準備など)、
(5) 普段の心がけ(「お薬手帳」を日頃から持ち歩く、歯医者に行っておくなど)
が重要だとしました。
最後に、被災地からのお願いとして:
・見守っていてください。
・繰り返さないでください。
・生き抜いてください。
として佐藤氏は講演を締めくくりました。
この講演には、聴講者から「佐藤一男さんの話を聞いて胸がいっぱいになり、この話を貴重な知識として取り入れこれから先、震災があった際には役立て後悔しないようにしたいと強く思いました」「講演をお聞きして、晴れ着の話や、なぜ芸能人を呼ぶのかといった話で何度も泣きそうになった」「実際に経験された方の話をきくことは、ネット上にあげられたり、著書として残らされた重要なものを読むよりも、やはり自分の中に落としこむことができます。そのため、この講演を心にのこしながら、減災に取り組むことができると、強く思います」といった感想が寄せられ、自分のこととして東日本大震災での支援のあり方から学び、これから防災・減災にとりくんでいこうとする学生の姿がそこにはありました。
記事提供 : 商学部 長谷川 伸准教授