


中学時代、再生医療に興味をもって以来、生命に関わる研究をしたいと思うようになりました。そして、関西大学に入学したころには、大学院まで進学したいと考えるように。生命・生物工学科では、全学生が1年次から個人面談を受けられるというメリットがあります。先生方の指導を受けながら適性を見定めた結果、最初からの希望通り、神経生命工学研究室に進もうと決断。いま取り組んでいるのは、神経が変性する病気の発症につながるアポトーシス(細胞死)をどのように防ぐかを、分子のレベルで考える基礎研究です。アポトーシス自体は、高等生物の発生の過程で普通に起こっている現象です。しかし、真核細胞内でタンパク質の品質管理を行っている小胞体という小器官が正常に働かないと、不良のタンパク質が小胞体内に貯まる「小胞体ストレス」という状態になり、それが過剰になると細胞は死んでしまいます。ある種の病気の発症過程で、この小胞体ストレス型アポトーシスが起こっています。わたしは、細胞内でどのような情報伝達が行われることでアポトーシスが起きたり、防がれたりするのかを、クローニングしたDNAを培養動物細胞の中に入れる実験を通じて調べています。DNAの加工に用いる試薬を一つ入れ間違うと、準備がすべて無駄になってしまうので、精神を集中して作業を進めなければなりません。しかし、ヒトの生命に関わる研究をしているという点で、大きなやりがいを感じています。

生命・生物工学科
池内 俊彦 教授
藤田さんが進めているのは、神経変性疾患などに関係している小胞体ストレス型アポトーシスの分子機構やその防御機構に関する研究です。小胞体ストレス型アポトーシスは、地球環境問題を引き起こす環境ホルモンが、ヒトの細胞内に入ったときに起きる作用としても注目されています。そういう意味で、この研究は将来、生活習慣病や環境ホルモンの作用を防ぐ薬の開発につながる可能性がある重要な研究です。
※この学びのスタイルは2011年度のものです。


キノコには健康維持に有用な成分が含まれていることがすでに判明しており、さまざまな研究が行われています。私が所属する微生物工学研究室では、4℃という低温で培養したエノキタケの菌糸体(キノコに成長する前の状態)に含まれる、化合物の機能を研究中。私のテーマはこの「低温培養エノキタケ」の、人体に対する作用を調べることです。特に、肥満にも関連が深い肝臓の働きに対する効果に着目しました。そこでまず、高脂肪食で太らせたマウスを3群に分け、普通のエノキタケ菌糸体を混ぜたエサ、低温で培養した菌糸体を混ぜたエサ、菌糸体を交ぜない高脂肪食という3種類を10週間与え続けるという実験を行いました。その間に体重、血圧を測り、肝機能を調べるために血液検査も行いました。小さなマウスだけに血圧の測定などでは苦労しましたが、何度もやり直して数値を採りました。その結果、8週目から、低温培養エノキタケを与えたグループの体重、コレステロール値などが、はっきりと減少していくことがわかりました。しかしまだ「作用する物質は何か」「なぜ、8週目に効き目が現れるのか」など不明な点が多く、現在も研究を続けています。キノコに肝臓を保護する作用があるという実験結果は、私自身にも大きな驚きでした。今後の研究でどんな成果を導くことができるか、本当に楽しみです。

生命・生物工学科
河原 秀久 准教授
大西さんが進めている研究は、近い将来、医薬品や健康食品の開発につなげることができる画期的な取り組みです。私たち微生物工学研究室ではさらに、低温培養エノキタケの菌糸体を用い、市販エノキタケを製造し、肝機能保護作用がある「機能性エノキタケ」を企業との提携で大量生産することも構想中です。
※この学びのスタイルは2010年度のものです。


食品や建築などに被害を与えるカビは、湿度の高い日本では身近な問題です。私は、どのような条件下でカビの増殖・生存・活性が抑制されるのかを調べるため、カビに制菌剤を接触させ、顕微鏡で観察する実験に取り組んでいます。研究のきっかけは、土戸先生がエジプトの遺跡の保存修復プロジェクトに関わり、現地で採集されたカビの分析を依頼されたことです。研究室では今まで、バクテリアや細菌など、微生物の研究を行っており、カビは初めての研究対象。しかも、現在のところ日本でも世界でも、カビ研究はほとんど進んでいません。発展途上の分野であるという点におもしろさを感じて研究を始めましたが、実験方法も確立されておらず、データの蓄積もほとんどないので、難しさを実感しています。これまでのところ、2種類のカビについて、さまざまな濃度のエタノールと接触させたところ、5%の濃度で、カビの成長が抑えられることがわかりました。また、エタノールと同じ水酸基を持つペンタノールを用いると、成長抑止効果が強いことも判明しました。しかしペンタノールは効き目が強すぎて人体にも害を及ぼすので、今後は安全で蒸発しやすいエタノールを使う方向で、研究を進めていきたいと思っています。将来的には、カビが生えないような環境条件と、生えた時に即効性のある除去法を確立したいと考えています。

生命・生物工学科
土戸 哲明 教授
薬剤を使ってカビを殺す方法は、人体や環境に悪い影響を与えるので、それよりはカビの生理学的性質を調べ、「どういう環境であればカビが抑えられるか」を考えることが大切です。カビは研究が遅れてきた分野で、不明な点が多く難しさもありますが、岡本君は「方法を考える」こと自体に興味を持っているので、研究の進展を楽しみにしています。
※この学びのスタイルは2009年度のものです。