化学生命工学部

学びのスタイル

理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
市木 由香

研究テーマ

最軽量マグネシウム合金の陽極酸化処理による防食作用向上

未開拓だからおもしろい。次世代の軽金属材料に可能性を見いだす研究 未開拓だからおもしろい。次世代の軽金属材料に可能性を見いだす研究

可能性を秘めた新素材を開発したい

マグネシウム合金は実用金属中で最も軽量ですが、大気中で非常に錆びやすく、腐食が進行しやすい素材。その課題解決をめざし、同素材にさまざまなイオンを含んだ溶液中で電気を流すことで、酸化皮膜を形成し錆びない安定した材料の研究開発に取り組んでいます。「大きさ」「時間」などの通電条件を工夫し、より高性能な酸化皮膜の形成をめざしています。

研究室の後輩に引継ぎ、チームで実用化をめざす

マグネシウム合金の研究は前例が少なく、広く実用化されるまでにはまだ道のりは遠いですが、3年間の研究を通して土台ができた実感があります。単純処理の実用化によって自動車などの内部機器を省エネルギー・低コストで加工できるなど、さまざまな可能性が広がります。

  • ※この学びのスタイルは2022年度のものです。



理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
森 七星

研究テーマ

有機色素/シリカ複合体による新規光抗菌剤の開発と歯周病光治療への応用

ナノ粒子の応用展開と医工連携研究により歯周病治療の新たな可能性を拓く ナノ粒子の応用展開と医工連携研究により歯周病治療の新たな可能性を拓く

多くの人々の治療に貢献できる研究

光をあてることで殺菌効果をもつ活性酸素を生み出す有機色素とシリカを複合化させた粒子を開発し、新たな歯周病治療法の研究開発に取り組んでいます。従来の治療法である抗生物質投与では耐性菌ができ、歯周病の完治は難しいとされています。しかし複合体粒子に光をあてる治療法は耐性菌が発生せず、繰り返し処置が可能です。

共同研究を経て治療法の実用化をめざす

今後は歯科治療を専門とする他大学の研究室と共同研究を進め、安全性試験や臨床応用を検討します。また、超音波を用いた治療法の検討や学会発表への積極的な参加など、自らの専門性をさらに高めて、研究職に就くための素養を身に付けます。

  • ※この学びのスタイルは2021年度のものです。



理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期過程 1年次生
西川 智貴

研究テーマ

DNA四重鎖ゲルの皮膚がん治療デバイスへの応用

DNAを活用した、副作用の少ないがん治療の確立を通じて社会貢献をめざす DNAを活用した、副作用の少ないがん治療の確立を通じて社会貢献をめざす

抗がん剤を患部に直接注射する方法を追究

研究で扱っているのは、体液に触れると瞬時にゲル化する「DNA四重鎖」です。私は研究室で生まれたこの材料を使って、皮膚がんを治すしくみを開発する研究に取り組んでいます。飲む薬は体内を循環するため、副作用が起きやすくなりますが、このDNA四重鎖ゲルを使った方法なら、抗がん剤を直接患部に注射するので副作用が少なく、投与回数も減らせることが期待されます。今は、この材料が注射した箇所にどの程度とどまるのかを実験で観察する段階です。工学研究ですが医療分野と関連が強く、実用化されればがんに悩む多くの人を救える点に魅力を感じています。

大学院で、さまざまな材料の研究に挑戦したい

メインの研究とは別に、昨年は「国際生体分子デザインコンペティション(BIOMOD)」に出場するため、有機合成に関する研究も行いました。国内予選を通過し、サンフランシスコでは英語での発表も経験。別分野の勉強を通じて知識が広がっただけでなく、異なる国の人々の意見に触れ、人脈を広げることができました。今後はDNAに限らずさまざまなアプローチから、人に役立つものづくりに携わっていくつもりです。

  • ※この学びのスタイルは2020年度のものです。



理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
柴田 彩花

研究テーマ

アニオンレドックスによる新しい高容量正極材料の探索

酸素の酸化還元反応を活用した高容量リチウムイオン電池の開発に貢献 酸素の酸化還元反応を活用した高容量リチウムイオン電池の開発に貢献

軽量な正極材料を使った電池の開発に挑戦

現在、ノートパソコンや携帯電話などに広く用いられているリチウムイオン電池。正極にコバルトなどの遷移金属を用いているため、重さや大きさが課題となっています。そこで私は、O2の酸素イオンをOにする「酸素の酸化還元反応」を利用して、より高性能で安価な正極材料の開発をめざした研究に取り組んできました。いま着目しているのは、LiAlO2という物質です。

大学院で、さまざまな材料の研究に挑戦したい

既存の正極材料をLiAlO2に置き換えることができれば、小型で軽く、高容量の高性能液体電池の実現が近づきます。合成作業は攪拌から乾燥、焼成まで約1週間かけて結晶を生成させ、合成条件の最適化を図るのですが、目に見える成果が出るまでは時間がかかることを実感しています。自分で考え、工夫する実験過程を楽しみつつ、今後は「酸素を酸化させる反応」を軸に、さまざまな材料を使って電極の開発に取り組みたいと考えています。

  • ※この学びのスタイルは2019年度のものです。



理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
殿納屋 剛

研究テーマ

リチウム硫黄電池のための高硫黄充填可能な含窒素活性炭の開発

活性炭の孔を効果的に活用したリチウム硫黄電池の実用化の一翼を担う 活性炭の孔を効果的に活用したリチウム硫黄電池の実用化の一翼を担う

硫黄を最も多く保有できる活性炭の穴の大きさを探る

スマートフォンなどに利用されているリチウムイオン電池を、さらに進化させるものとして期待されているのがリチウム硫黄電池です。約10倍の正極理論容量があり、高エネルギーな電池として研究が進められています。リチウム硫黄電池は正極に硫黄を用いますが、硫黄単独では使うことができません。私は、活性炭にある孔に硫黄を担持して電池として利用する先行研究に注目し、活性炭の孔径や体積に関する研究に取り組みました。

企業と高度な共同研究を行う国家プロジェクトにも参加

実験では、まず、有機化合物を焼成し炭化、さらに薬品を用いて孔を開けることで活性炭を作製します。この活性炭の孔径を制御し硫黄を多くまた、強固に担持できる最適な孔の大きさを探求しました。リチウム硫黄電池は、希少資源を使用せず大電力を貯え、夜間電力を昼に活用する、停電時でも電力供給できるなど期待大です。国家プロジェクトとして企業共同研究も行っており、私もメンバーの一員です。大学院ではさらに研究を発展させたいです。

  • ※この学びのスタイルは2018年度のものです。



理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 2017年3月修了
木村 淳吾

研究テーマ

鉄ナノパーティクルを用いたO-アリール化反応

レアメタルに代わりうる鉄ナノ粒子を触媒に使い、より少ないステップで、環境に優しい化学合成を。 レアメタルに代わりうる鉄ナノ粒子を触媒に使い、より少ないステップで、環境に優しい化学合成を。

大洞先生の授業を受けて、有機化学、なかでも化学反応を促す機能をもつ触媒への興味が高まりました。現在、産業界ではレアメタル(希少金属)が触媒としてよく使われていますが、もし安くて豊富な鉄が使えれば、歓迎されることでしょう。鉄が触媒として十分な活性を示すには、ナノサイズにして表面積を大きくする必要があります。私の研究では、作り出した鉄ナノ粒子を触媒として原料に加え、医薬品の有効成分などになりうるファインケミカルを合成。よりローコストで、副生成物が少なく、環境に優しく、少ないステップで合成が可能となるよう、触媒の性能を上げることが目標です。研究室ではもともと2種類の鉄ナノ粒子で実験していましたが、私が好奇心から複数の新種を作り出し、8種類に増やすことで、実験の選択肢を広げました。先生が新しい挑戦を応援してくださるので、のびのびと力を試せます。就職先は化学系メーカーです。ナノ粒子触媒を作る技術で培った経験を生かし、化学の力が社会に役立つように、意欲をもってトライしたいです。

工夫とアイデアで、達成困難なことの実現を。自分自身の手で、化学の面白さを実感できます。

失敗しながらも自らの手で実験し、一見達成困難なことを工夫とアイデアで実現させるのが化学の面白さです。学科では、有機化合物、医薬品、先端バイオ材料、金属材料、高分子化合物などをキーワードに、幅広いテーマで研究しています。いかに効率良く環境にも配慮できるか、考える力や知恵を発揮することが重要です。大学の学びは進化しています。教科書の内容を変えるような研究に挑んでください。

化学・物質工学科
大洞 康嗣 教授

  • ※この学びのスタイルは2017年度のものです。

理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
野口 貴史

研究テーマ

細胞接着挙動を制御可能な光応答性ポリマーフィルムの創製

細胞をコントロールできる機能を狙って合成。最先端の研究結果を世界で最初に確認できます。 細胞をコントロールできる機能を狙って合成。最先端の研究結果を世界で最初に確認できます。

高分子フィルムのパターン形成(左)
その表面を用いた細胞パターニングに成功(右)

私が所属する研究室では、固体と液体の中間的な性質をもつ高分子ゲルの研究を行っています。そんな中、私の研究対象は高分子フィルム。高分子ゲルと同様の機能で、しかも水分は含まないという特徴があります。扱う素材や条件を変えて合成を行い、光を当てたときに生じる形状変化を測定装置で確認し、望む位置と硬さでマイクロレベルのパターンをつくる機能を追求しています。こうした機能が役立つのは、主に医療分野。細胞は、硬さの違いにより接着挙動を変化させることが知られているため、この機能を用いると細胞をコントロールすることができます。そのため、細胞挙動の解明や、今後は人工臓器の開発にもつながるかもしれません。この研究を学会で発表したところ、ベストポスター賞を受賞しました。発表に向けて説得力のある説明を考え、どんな質問にも対応できるようにも準備。こうしたプロセスを経て、さまざまな人に研究結果について理解を促す力を培いました。高分子フィルムによって思い通りに細胞を整列させた細胞パターンは、最先端の研究成果であり、それを世界で最初に顕微鏡で確認できることに喜びがあります。

化学は、頭に描いたことを実現する楽しみに満ち、既存の常識を覆す可能性を秘めています。

野口さんが研究している高分子フィルムは、ものづくりのシステムを一変する可能性のある全く新しい材料。化学は「こんなことできたらいいな」と頭に描いたことを実現できる可能性に満ちています。他にも研究室では、世界的に注目されているスマートゲルなどのユニークな材料開発に取り組んでいます。本人にはおもしろく、社会貢献力も十分。世界の人があっと驚く、夢のある研究の楽しみを一緒に味わいましょう。

化学・物質工学科
宮田 隆志 教授

  • ※この学びのスタイルは2016年度のものです。

理工学研究科 化学生命工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
道姓 宏章

研究テーマ

カルコゲン架橋したL字型非対称分子の合成と集合体構造

自在に曲げられるディスプレイを実現する新しい有機半導体分子の合成に挑戦しています。 自在に曲げられるディスプレイを実現する新しい有機半導体分子の合成に挑戦しています。

現代人の生活に欠かせない携帯端末やPCのディスプレイなどには、無機物の半導体が使用されています。しかし、無機半導体は、製造時に高温プロセス(300-1000℃)が必要で高コストであり、また、大面積化が困難であるという問題を抱えています。そこで私たちの研究室では、有機物を半導体(有機半導体)に用い、それを有機溶媒に溶かして基板の上に塗る、低温プロセス(室温から60℃以下)で大面積化が可能な材料を採用しています。これによって、軽く、柔らかく、自由自在に折り曲げられるデバイスを低コストで開発することが可能となります。私は、有機半導体として性能が高く、またこれまで以上に有機溶媒によく溶ける新しい分子設計およびその分子の新規合成法の研究に3年間取り組んできました。試行錯誤しながらさまざまなパターンの分子を合成した結果、分子骨格をL字に曲げることで、塗布プロセスに適し、半導体としての性能を併せもつ分子を合成することに成功しました。共同研究先の研究室で実際にデバイスを作製・測定を行い、狙い通りの分子を創出した喜びを実感することもできました。これからも、よりよい分子を作るために研究を進めていく予定です。

分子設計を通じて、世界で初めてのモノを作れる研究室です。

私たちは今、スマートフォンやタブレットは板のような形をしているものだと考えています。しかし20年後には、曲がるディスプレイや、服のように着るパソコンが当たり前になるかもしれません。分子設計・合成は、テクノロジーの進化に貢献することができる研究分野です。世界で初めてのモノを作るやりがいを味わいたい人は、ぜひ研究室の扉をたたいてください。

化学・物質工学科
矢野 将文 准教授

  • ※この学びのスタイルは2015年度のものです。

理工学研究科 ライフ・マテリアルデザイン専攻(現 化学生命工学専攻)
博士課程前期課程 2年次生
塩見 大樹

研究テーマ

溶融電解用の新しい炭素質陽極材料の開発

地中に豊富に存在する金属の効率的な利用法を研究しています。 地中に豊富に存在する金属の効率的な利用法を研究しています。

自動車、航空機、ビルなど、構造物を支えるために現在よく使われているのは、鉄やアルミニウムです。これらは地殻中に酸化物として豊富に存在し、古くから利用法が確立されてきました。一方、金属のなかでもマグネシウムやチタンは、存在量は多いのですが、今の精錬プロセスでは品質面や価格面に問題があるため、あまり利用が進んでいません。研究室では、金属塩の塊を数百度の高温で溶かして電解する「溶融塩電解」という方法を用いて、これらの金属の効率的な製造法の開発に取り組んできました。そのなかでの私の課題は、マグネシウムを作る溶融塩電解の過程で、環境負荷が大きいCO2ではなく、O2を出すような炭素の陽極材料を開発すること。ダイヤモンドを使えばCO2が出にくいことはわかっていますが、別の構造の炭素を使って試行錯誤しています。反応機構について仮説を立て、実験を繰り返すうちに、どういう材料を使うとどういう反応が起きるか、予想がつくようになってきました。それとともに、構造が違うと性質が大きく異なる「炭素」という元素に、大きな魅力を感じるようになっています。

さまざまな化学的手法を使って純粋な物質の「分離」に挑んでいます。

私たちの研究領域は、いろいろなものが混じっている物質から、限りなく純粋に近い金属を効率よく取り出すプロセスを考える「分離工学」。溶融塩電解はその手法の1つで、目的の金属が陰極で得られるのと同時に、陽極では気体が発生します。塩見さんの研究は陽極反応をうまく制御し、廃棄物の発生や装置の損耗をコントロールするのが目的であり、効率的な製造プロセスの開発には欠かせないものです。

化学・物質工学科
竹中 俊英 教授

  • ※この学びのスタイルは2014年度のものです。

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