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化学生命工学部

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化学・物質工学科 大矢 裕一 教授が高分子学会において高分子学会 三菱ケミカル賞を受賞

氏名

大矢 裕一

所属

化学生命工学部 化学・物質工学科(機能性高分子研究室)

受賞年日

2018年09月12日

大会・団体名

高分子学会

受賞名

高分子学会 三菱ケミカル賞

研究テーマ等

温度応答型生分解性インジェクタブルポリマーの開発

賞の概要

高分子学会:会員数9837名(2018年4月1日)。 温度上昇に伴ってゾル状態からゲルへと転移するポリマー水溶液は、注射器などで簡単に体内注入でき、投与部位でゲルを形成するため、インジェクタブルポリマー(IP)としての医療応用が期待されている。IPを用いた治療は、侵襲度が注射器の穿孔だけで、腹腔鏡手術にも適用でき、低侵襲治療を実現する医用器材となり得る。中でも生体内で分解・吸収される生分解性IPは、薬物徐放型ドラッグデリバリーシステム(DDS)や組織再生用足場、血管塞栓治療、癒着防止材などとしての応用が期待されている。受賞者は、これまでに各種の生分解性ポリマーの合成に携わってきた技術を活用し、従来の問題点を克服する温度応答型生分解性IPを創出した。特に受賞者が開発したtri-PCG両末端にアクリル基を結合したtri-PCG-Acrylミセル溶液と、疎水性ポリチオール内包tri-PCGミセル溶液とを混合した系は、温度上昇による相転移がトリガーとなったチオール-エン反応により共有結合ゲル化が進行するシステムである。この製剤は混合しただけではゲル化せず、加熱ゲル化の後に冷却してもゾルには戻らない不可逆的ゲル化を示し、水中に保持した時のゲル状態の維持期間(分解時間)は、各ミセル溶液の混合割合を変化させるという非常に簡便な手法で1-90日間の広い範囲で自在に調整できることも明らかにした。これにより、従来のIPの、体液などが豊富に存在する環境では、平衡が解離の方向に移動してゲル状態を長時間維持できないという欠点を克服した。動物体内においても同様なゲル状態維持期間を示すことが確認されており、癒着防止材などとしての実用化が検討されている。 以上のように受賞者は、生分解性ポリマーの分子構造制御により、従来型IPの臨床応用上の問題点の多くを解決した。本研究は、高分子合成と温度応答型ゾルゲル相転移現象の深い理解に立脚する独創的な研究であり、医療における実用的価値も極めて高い。これら一連の成果は国内外で高く評価されており、高分子学会三菱ケミカル賞に値するものと認められた。

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